セッション情報 一般演題

タイトル 130:

短期間に肝生検を繰り返し診断に至った自己免疫性肝炎の一例

演者 一木 康則(大分赤十字病院 消化器科)
共同演者 江藤 寛之(大分赤十字病院 消化器科), 永松 秀康(大分赤十字病院 消化器科), 新関 修(大分赤十字病院 消化器科), 石田 哲也(大分赤十字病院 消化器科)
抄録 症例は50歳男性。平成15年に狭心症にて入院した際に肝機能異常(AST 51 IU/L, ALT 91 IU/L, γGTP 95 IU/L)を認めていた。平成18年9月、脱水症にて入院した際にAST 92 IU/L, ALT 184 IU/Lであったが、退院後に増悪したため10月に当科を紹介受診。AST 516 IU/L, ALT 939 IU/L, T-Bil 2.6 mg/dLであったため精査加療目的で入院。種々のウイルス感染は否定的であり、ANA 80倍(homogeneous)、γglb 16.4%、IgG 1428 mg/dLであった。肝生検では拡大した門脈域と類洞内に単核球、好中球、好酸球を含む高度の炎症細胞浸潤を認め、線維化は軽度であり、むしろ急性肝炎を疑う組織像であった。しかし平成15年にはすでに軽度の肝障害がみられていたこと、画像上は慢性肝障害を示唆する肝の形態変化がみられていたことから、自己免疫性肝炎(AIH)など何らかの慢性肝疾患の急性増悪などが考えられたが確定診断には至らなかった。T-Bilは12.9 mg/dLまで上昇し、肝内胆汁うっ滞を来たしていたことなどからUDCAやグリチルリチン製剤投与が行われ、11月に退院後も外来にて投薬を続けられていた。その後もAST/ALTは90~110程度で推移していたが、次第にγglb 24.1%, IgG 2219 mg/dLと上昇(抗核抗体は80倍で不変)。AIHの疑いにて初回の肝生検より3カ月後の平成19年1月に2回目の肝生検を施行。門脈域には単核球主体の炎症細胞浸潤を認めリンパ濾胞を伴い、線維化はF2程度に進展していた。I型AIHの診断にてステロイド投与が開始され、反応性は良好であった。急性肝炎として発症するAIHはIgGやγグロブリンが低値でAIH scoreも低いことが多く、従って初診時に診断が困難な場合があり慎重な経過観察を要すとされており、本症例もそのような症例と考えられた。また短期間のうちに肝生検を繰り返したことが診断の大きな一助となったことから、病態が不明の場合は積極的に肝生検を繰り返し行うことも考慮すべきと考えられた。
索引用語 自己免疫性肝炎, 肝生検