セッション情報 シンポジウム2

タイトル S2-09:

当科における食道表在癌の内視鏡治療の現状

演者 久米 恵一郎(産業医科大学消化器・代謝内科)
共同演者 山崎 雅弘(産業医科大学消化器・代謝内科), 芳川 一郎(産業医科大学病院内視鏡部), 大槻 眞(産業医科大学消化器・代謝内科DELIMITER産業医科大学病院内視鏡部)
抄録 【目的】当科では、EEMR法を中心に、必要に応じてCRT等を追加する既存の方法により食道表在癌の治療を行っている。今回、ESDや新たなdeviceを導入することの診療成績の向上に貢献する余地の有無につき、当科の治療成績を検討することを目的とした。【対象】1995年6月~2007年5月に治療した71症例92病変(m1-2; 77病変、m3-sm1; 11病変、sm2; 1病変、バレット腺癌3病変)。【方法】治療は、内視鏡及びEUS所見にてm3-sm1(バレット腺癌はm)以内であれば、原則としてEEMRを実施した。m1-2病変ではEEMR後遺残が疑われば同時的にAPC等を追加した。m3以深の病変でmassive invasion、ly因子陽性、INFγ、低分化のいずれかの所見を認めた場合、バレット腺癌でsm浸潤、ly因子陽性のいずれかを認めた場合に追加CRTもしくは手術の方針とした。また、広範な病変では最深部に切除線が入り込まないよう計画的分割切除を行った。切除切片の評価法として、完全一括切除は、一括に切除され且つルゴールに染色される正常上皮に完全に囲まれているもののみと定義した。【結果】完全一括切除率は、m1-2病変で44.1%、m3-sm1病変で36.7%であった。後者で断端にm3以深の部分を認める症例はなかった。m3以深の病変で8例にCRT等、バレット腺癌は2例に手術を追加した。m1-2病変で9例に局所再発が、全体で10例に異時性多発が認められたが全例内視鏡的追加治療で治癒した。但し、APC以外の治療は困難と判断した1例で局所制御が得られていない。また、CRTを追加した症例のうち1例が3年後に原病死した。合併症としては、術後狭窄を5例、穿孔を1例に認めたが内視鏡的治療にて治癒した。【考案】ESDが完全一括切除の向上と局所再発率を低下させる余地及びnew deviceがバレット腺癌の治療前診断の確度を高める可能性があると考えられた。しかし、ESDやnew deviceによる診断治療は、バレット腺癌を除けば、計画的な分割切除や定期的な経過観察により必要に応じて追加治療を行うことで十分担保されると考えられた。【結語】バレット腺癌を除けば、ESDやnew deviceによる診断治療が本質的な治療成績の改善に貢献する余地は少ないと考えられた。
索引用語 EMR, 食道癌