セッション情報 一般演題

タイトル 113:

内視鏡的粘膜下層切開剥離術(ESD)により完全一括切除しえた食道顆粒細胞腫の一例

演者 中山 昌之(佐賀大学 医学部 消化器内科)
共同演者 藤瀬 剛弘(佐賀大学 医学部 消化器内科), 小松 未生(佐賀大学 医学部 消化器内科), 萬年 孝太郎(佐賀大学 医学部 消化器内科), 白石 良介(佐賀大学 医学部 消化器内科), 山口 加奈子(佐賀大学 医学部 消化器内科), 下田 良(佐賀大学 医学部 消化器内科), 綱田 誠司(佐賀大学 医学部 光学医療診療部), 水口 昌伸(佐賀大学 医学部 放射線科), 坂田 祐之(佐賀大学 医学部 消化器内科), 岩切 龍一(佐賀大学 医学部 光学医療診療部), 藤本 一眞(佐賀大学 医学部 消化器内科)
抄録 【症例】43歳男性【主訴】特になし【現病歴】平成18年4月大腸憩室炎にて近医入院。その際の上部消化管スクリーニングにて中部食道に粘膜下腫瘍を認め,精査・加療目的に当科入院となる.【入院時現症】特に無し.【入院時検査所見】血液検査では明らかな異常所見は認めなかった.上部消化管内視鏡検査では胸部中部食道に約15mmの頂部に陥凹を有する立ち上がりのなだらかな隆起性病変を認めた。超音波内視鏡検査では粘膜下層を主体に存在する低エコーの充実性腫瘤を認めた。 【入院後経過】内視鏡的切除可能と考えられたため,既知の病変に対し内視鏡的粘膜下層切開剥離術(ESD)を行った。術中特に重篤な偶発症の出現は認めなかった。切除病変は病変中央になだらかな陥凹を有する粘膜下腫瘍であり,大きさは18X10mmであった。粘膜固有層を主体として円型あるいは多形性の大型の腫瘍細胞が胞巣状に増殖し,腫瘍細胞は粗い好酸性顆粒状の細胞質の中央に核をもち,細胞質の顆粒はS-100染色にて陽性であり,顆粒細胞腫と診断した。切除断端は水平,垂直断端ともに陰性であり,完全一括切除と考えられた.術後経過は良好であり,術後11日目に退院となった。【考察】顆粒細胞腫は全身のいかなる臓器にも発生しうる腫瘍であり,消化管における発生は5~9%とされている.なかでも食道はその30~60%を占め,中下部,特に下部食道が好発部位である。組織学的に細胞質内に微細顆粒を有する腫瘍であり,約2%の悪性率を認めるとされている。臨床経過や治療方針に関し,文献的考察を加えて報告する。
索引用語 食道, 顆粒細胞腫