セッション情報 一般演題

タイトル 63:

経鼻内視鏡前処置特有と考えられる眩暈、吐気、嘔吐等の偶発症を呈した1例

演者 中山 昌之(佐賀大学 医学部 消化器内科)
共同演者 中山 信一(神埼クリニック), 藤瀬 剛弘(佐賀大学 医学部 消化器内科), 萬年 孝太郎(佐賀大学 医学部 消化器内科), 下田 良(佐賀大学 医学部 消化器内科), 坂田 資尚(佐賀県立病院 好生館), 岩切 龍一(佐賀大学 医学部 光学医療診療部), 藤本 一眞(佐賀大学 医学部 消化器内科)
抄録 【症例】51歳 女性。胃部不快感を主訴に来院。再発性胃潰瘍の既往があり経鼻内視鏡による上部消化管精査を2006年9月16日施行した。検査開始前血圧100/68mmHg。内視鏡前処置として硝酸ナファゾリン点鼻後、鼻腔内の局所麻酔として4%塩酸リドカインをジャクソンを用い坐位にて2回に分け実施。2回目の局所麻酔終了後、左側臥位にし、経鼻内視鏡を実施した。検査時間は約10分であった。検査中は全身状態に明らかな異常は認めなかったが、前処置約30分後の検査結果説明時に眩暈、吐気、嘔吐を認め140/90mmHgと血圧の上昇を認めた。安静にて経過見るも症状改善しなかったため、佐賀県立病院へ搬送。搬送先到着後、吐気は消失したものの、めまい、両眼左方向に眼振を認めた。頭部CTなどを含めた精査にては明らかな原因となるような異常は認めなかった。炭酸水素ナトリウム、ジアゼパムにて前処置後約6時間には症状改善を認めた。【考察】経鼻的内視鏡による上部消化管内視鏡検査は経口内視鏡に比べ、苦痛が少ない点で注目を浴びており、現在一般診療において急速に普及している。局所麻酔薬による中毒症状は多種多様であるが、表面麻酔剤の4%塩酸リドカインはアルコールの添加がされていないため非刺激性であり、経鼻内視鏡前処置として汎用されている。 今回の症例においては症状、臨床所見の出現時間、その他の検査所見などから塩酸リドカインを2回目噴霧後、即座に左側臥位にしたことにより表面麻酔剤が、鼻涙管や耳管を介して、眼球や内耳に対して影響を与えたことにより嘔吐や眩暈などの症状が出現した可能性が高いと考えられた。経鼻内視鏡検査施行にあたり、経口内視鏡の前処置では出現の可能性がほとんどない副作用もあり、今後一般診療への普及が予想される経鼻内視鏡検査の前処置においては今まで以上に十分な注意が必要であると思われ、若干の文献的考察を加え報告する。
索引用語 経鼻内視鏡, 偶発症