| 共同演者 |
増田 淳一(長崎大学医学部歯学部附属病院 第二内科), 大仁田 賢(長崎大学医学部歯学部附属病院 第二内科), 磯本 一(長崎大学医学部歯学部附属病院 第二内科), 水田 陽平(長崎大学医学部歯学部附属病院 第二内科), 宿輪 三郎(長崎大学医学部歯学部附属病院 光学診療部), 行徳 宏(長崎大学医学部歯学部附属病院 第一外科), 泉野 浩生(長崎大学医学部歯学部附属病院 第一外科), 田中 研次(長崎大学医学部歯学部附属病院 第一外科), 野中 隆(長崎大学医学部歯学部附属病院 第一外科), 角田 順久(長崎大学医学部歯学部附属病院 第一外科), 七島 篤志(長崎大学医学部歯学部附属病院 第一外科), 安倍 邦子(長崎大学医学部歯学部附属病院 病理部), 林 徳眞吉(長崎大学医学部歯学部附属病院 病理部), 河野 茂(長崎大学医学部歯学部附属病院 第二内科) |
| 抄録 |
【はじめに】ネコひっかき病は、ネコのひっかき傷の後に発熱、リンパ節腫脹などを来たす人畜共通感染症である。小児に多くBartonella henselae菌が原因菌と判明している。 一般的に自然軽快をするが非定型例では診断に苦慮し重症化することがある。今回、肝臓・脾臓に特徴的な所見を示しBartonella henselae血清抗体検査にて確定した「成人発症の肝臓脾臓型ネコひっかき病(バルトネラ症)の一例」を経験したので報告する。【症例】87歳。男性。2007年5月9日より高熱が出現し当院を受診した。身体所見では39.5度の高熱と左腋下リンパ節腫脹を認め、検査所見ではWBC7900, CRP3.61, AST294, ALT 231, LDH 1948, T-bil 1.6, ALP 988,γ-GTP500と炎症反応と肝胆道系酵素の上昇を認めた。CTでは胸腹水の出現と胆嚢壁の肥厚を認め、著明な肝脾腫とその内部に多発する小さな低吸収病変を認めた。MRIではT2強調画像で肝臓・脾臓に多発する小さな高信号を呈する病変を認めた。リンパ節生検組織のH-E染色ではリンパ節内に多発する小膿瘍を認めWarthin-Starry染色にて短桿菌が確認された。Bartonella henselae血清抗体検査にてIgMは20倍未満であったが、IgGは1024倍以上と高値を示しBartonella henselae菌による肝臓脾臓型ネコひっかき病と診断した。抗生剤は当初急性胆嚢炎を疑いSBT/CPZを使用したが、解熱がみられなかったことからIPM/CSとCLDMに変更した。発熱は入院後9日目から37度前後に解熱し、炎症所見は入院後25日目でCRPの陰性化を得た。肝機能障害は入院後32日目正常範囲に改善した。【まとめ】人畜共通感染症はペットブームの影響もあり近年増加傾向にある。本症は稀な疾患と考えられるが、肝脾腫とその内部に多発性する小さな低吸収病変を認める不明熱では、本症の可能性を念頭に置く必要があると考えられる。 |