セッション情報 ワークショップ1

タイトル 研-55:

粘膜下腫瘍様発育をした胃高分化型腺癌の一例

演者 井川 敦(福岡大学 医学部 消化器内科 )
共同演者 冨岡 禎隆(福岡大学 医学部 消化器内科 ), 池田 憲治(福岡大学 医学部 消化器内科 ), 藤田 英治(福岡大学 医学部 消化器内科 ), 志賀 洋(福岡大学 医学部 消化器内科 ), 福島 公香(福岡大学 医学部 消化器内科 ), 渡邉 隆(福岡大学 医学部 消化器内科 ), 酒井 真志(福岡大学 医学部 消化器内科 ), 森田 勇(福岡大学 医学部 消化器内科 ), 西村 宏達(福岡大学 医学部 消化器内科 ), 江口 浩一(福岡大学 医学部 消化器内科 ), 前田 和弘(福岡大学 医学部 消化器内科 ), 青柳 邦彦(福岡大学 医学部 消化器内科 ), 向坂 彰太郎(福岡大学 医学部 消化器内科 ), 二村 聡(福岡大学 医学部 病理学)
抄録 症例は62歳女性。2006年6月上腹部痛が出現し、近医にて上部消化管内視鏡検査(以下EGD)を施行されたところ、胃体上部に活動性潰瘍を認めた。その際、前庭部にびらんが多発していたが、前壁側の大型びらんはやや周辺隆起が目立ち、他のびらんとは異なる形態を呈していた。生検は未施行。2007年2月、経過観察のため施行したEGDでは前庭部前壁の大型びらんは、頂部に陥凹を伴った粘膜下腫瘍様隆起を呈していた。生検で悪性所見は認めなかったが、悪性を否定できないため当科紹介となった。当科でのEGDでは前庭部前壁に増大傾向のある発赤調の陥凹を伴った粘膜下腫瘍様病変を認め、陥凹面の粘膜はやや粗造であったが、上皮性悪性腫瘍の変化には乏しかった。超音波内視鏡では病変は2~3層主体の低エコー腫瘤として描出され、第3層の菲薄化が認められた。sm浸潤癌が疑われたが、病変の伸展は比較的良好であったため十分なインフォームドコンセントを行い、同年8月内視鏡的粘膜下層剥離術を施行した。固定後の切除検体では中央に淡褐色調陥凹部を有するなだらかな粘膜隆起性病変であった。当該陥凹部の粘膜は異型度の低い高分化管状腺癌から構成されていた。そして、腫瘍は低分化型化することなく粘膜下層に多量に浸潤し[tub1,sm2(2130μm),inf-β,int, ly2,v0,ul(-)]、粘膜下腫瘍様の肉眼形態を呈した。粘膜下腫瘍様形態を呈する胃癌は少なく、その組織学的特徴は、1.充実性に発育する低分化腺癌、2.lymphoid stromaを伴う場合、3.粘液癌、4.超高分化腺癌、5.粘膜下異所性胃腺が存在する場合、などとされている。一方、本症例は癌腫そのものが低分化型化することなく一塊となって粘膜下層へ浸潤しており、粘膜下腫瘍様隆起を形成する発育形態としてはまれな症例と考えられた。
索引用語 粘膜下腫瘍, 胃癌