| 共同演者 |
赤星 和也(飯塚病院 消化器内科), 樋口 奈緒美(飯塚病院 消化器内科), 本田 邦臣(飯塚病院 消化器内科), 大内 二郎(飯塚病院 消化器内科), 久保川 賢(飯塚病院 消化器内科), 松井 謙明(飯塚病院 消化器内科), 本村 康明(飯塚病院 消化器内科), 大屋 正文(病理部) |
| 抄録 |
症例は68歳、女性。主訴は検診異常。特記すべき既往歴は無く、生来健康。平成18年8月検診の上部消化管X線検査で胃前庭部に異常を指摘され、近医を受診。上部消化管内視鏡検査にて前庭部小弯にIIa+IIc様病変を指摘され、生検施行されるも診断がつかず、精査目的にて11月当科紹介受診となった。上部消化管内視鏡検査では胃角部小弯に径2cmの浅い不正陥凹を伴う隆起性病変を認めた。隆起部分は表面が平滑で扁平な形態を呈していた。上部消化管X線検査でも同様の所見を認めた。超音波内視鏡検査では第1層の消失と第2-3層深層に達する低エコー腫瘤を認め、深達度sm2の癌やMALTリンパ腫が疑われた。リンパ節腫大は認めなかった。初回の生検では診断がつかず、生検目的で内視鏡検査を再検し、病変中央の同一部位を掘り進めて生検する、一点集中生検を施行した。生検病理組織でgroup IV(粘液癌疑い)を診断し、外科手術となった。術後の病理組織診断はMucinous adenocarcinoma composed of moderately differentiated components massively invading the submucosa, 22×17mm, pT1(SM), muc, med, INF alpha, ly0, v0, pPM(-), pDM(-)。腫瘍は豊富な粘液結節を形成し、癌腺管の浮遊を認めた。粘膜層には明らかな腫瘍巣はなく、腫瘍は粘膜下層の粘液嚢胞内に局在していた。胃粘液癌は、粘膜下腫瘍様形態をとる胃癌のうち16.9%を占める。豊富な粘液の分泌により、粘膜表面が保護され、潰瘍あるいは癌性の崩れを来たしにくく、粘膜下腫瘍様の形態を呈しやすい。そのため本疾患は通常の鉗子による生検では組織診断が困難な事が多く、診断的EMR等組織採取には工夫を要する。今回我々は一点集中生検が診断に有効であった胃粘液癌の一例を経験したので文献的考察をふまえて報告する。 |