セッション情報 シンポジウム3

タイトル S3-12:

当科におけるB型肝炎を背景とする肝細胞癌の実態と今後の対策

演者 長谷川 将(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学)
共同演者 熊谷 公太郎(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学), 玉井 努(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学), 重信 秀峰(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学), 小原 一憲(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学), 山崎 成博(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学), 森内 昭博(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学), 宇都 浩文(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学), 桶谷 真(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学), 井戸 章雄(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学), 坪内 博仁(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学)
抄録 【目的】B型肝炎に対して新たな抗ウイルス療法が導入され、肝細胞癌(HCC)の発生・再発予防の立場からも期待されている。今回南九州地区にある当科でのB型肝炎を背景とするHCCの実態を解析し、対策を検討した。【方法】2006年12月までの当科初回HCC治療症例のうちB型肝炎関連HCC(HB群)62例、C型肝炎関連HCC(HC群)334例を対象とした。各群に対し宿主側因子、腫瘍側因子、総合評価因子(JISスコア)、治療因子を解析した。HB群では予後・再発関連因子の算出に単変量、多変量解析を行った。【成績】HB群はHC群と比較し明らかに平均年齢が低く、Alb.値、ICG値、Plt値、TC値、ChE値が良好も、びまん性発育、高JISスコア例が多かった。HB群での腫瘍発生区域は肝前区域が最多で単発発生率も高かった。両群の累積生存率の比較では有意差を認めないが、無再発生存率の比較ではHB群に1868日以降の再発例が存在せず有意差を認め、また5年以上無再発例に死亡例がなかった。各肝予備能、進行度、JISスコア別での比較では高度進行例、高JISスコア例でHB群の再発率が高かった。累積生存率に関する多変量解析では、治療法、脈管病変の有無、腫瘍数に有意差を認めた。無再発生存率に関する多変量解析では、肝外病変の有無、治療法、脈管病変の有無、肝前区域発生の有無に有意差を認めた。IFN投与例6例中有効例はなく(中断1例、無効5例)、非投与例との生存率比較に有意差を認めなかった。抗ウイルス剤投与6例中4例で有効であったが、最長観察期間が1809日と短く、生存率比較に有意差を認めなかった。 【結論】HB群はHC群と比較し肝予備能が良好で、予後や再発に腫瘍側因子の関与が強く、5年間無再発で経過すれば長期生存が可能で、進行度が良好なうちに根治療法を選択すべきである。特に単発かつ症例数の多い肝前区域は再発率が高く、切除の良い適応と考える。抗ウイルス療法は現時点では十分な評価は困難であるが、発癌予防、再発予防の観点からも積極的に導入すべきと考える。
索引用語 肝細胞癌, B型肝炎