| 抄録 |
肝細胞癌の原因として肝炎ウイルスによるものが約90%を占める。Budd-Chiari症候群は近年わが国では比較的少なく、さらに本症候群に肝細胞癌を合併する症例はわが国では比較的まれである。 今回Budd-Chiari症候群に肝細胞癌を合併した長期生存例を経験したので、その臨床経過について報告する。 症例は77歳女性。1991年に近医にて肝硬変を指摘され、精査にてBudd-Chiari症候群の診断を受けた。1993年に初めて肝細胞癌を指摘されTACEを施行され、その後、1997年と2005年に肝細胞癌の再発を認め、再度TACEを施行されている。その後の経過観察中も肝機能は比較的安定していたが、2007/4に61.2 ng/mlと上昇し、AFP-L3:83.7%と高値を示したため精査加療目的で当科紹介入院となった。 入院時、黄疸はなく、軽度の貧血、腹壁静脈の怒張と脾腫を認めたがその他理学的所見に異常は見られなかった。血液検査所見では、TP:6.1 g/dl, Alb:3.6 g/dl, TBil:1.0 mg/dl, AST:38 IU/L, ALT:22 IU/L, LDH:318 IU/L, ALP:169 IU/L, γGTP:44 IU/L, PLT:9.4万/mm3, PT:76%, PIVKA-II:204AU/ml, HBsAg-, HCVAb-であった。エコーおよびCTで肝左葉に約5~6cm大のHCCを認め門脈左枝に腫瘍塞栓を認めたため動注用リザーバーポートを留置しCDDP 80mg投与による間歇動注療法を施行中である。 |