セッション情報 一般演題

タイトル 157:

急性に発症したBudd-Chiari症候群の一例

演者 田尻 博敬(九州大学大学院医学研究院 病態制御内科学 肝臓膵臓胆道内科)
共同演者 田中 正剛(九州大学大学院医学研究院 病態制御内科学 肝臓膵臓胆道内科), 樋口 野日斗(九州大学大学院医学研究院 病態制御内科学 肝臓膵臓胆道内科), 山下 尚毅(九州大学大学院医学研究院 病態制御内科学 肝臓膵臓胆道内科), 加藤 正樹(九州大学大学院医学研究院 病態制御内科学 肝臓膵臓胆道内科), 古藤 和浩(九州大学大学院医学研究院 病態制御内科学 肝臓膵臓胆道内科), 遠城寺 宗近(九州大学大学院医学研究院 病態制御内科学 肝臓膵臓胆道内科), 高柳 涼一(九州大学大学院医学研究院 病態制御内科学 肝臓膵臓胆道内科)
抄録 症例は35歳女性。家族歴、生活歴に特記事項なし。2007年6月下旬より咳嗽が持続。7月9日に近医を受診したところ、肝障害(AST 134 U/L、ALT 168 U/L)および胸部レントゲン検査で右胸水貯留を認めたため、同日前医に紹介入院となった。7月12日にはトランスアミナーゼの上昇(AST 625 U/L、ALT 465 U/L)と共に、急激なPT低下(36.3%)を認め、翌日当院へ転院した。急性肝炎原因検索を行うも、急性A/B/C型肝炎陰性、AIH/PBCなどの自己免疫疾患、Wilson病、甲状腺機能異常、他ウイルス疾患はいずれも否定的であった。腹部CT検査では肝抹消領域への造影効果が乏しく、さらに肝静脈の描出が不良で、肝静脈閉塞を疑う所見であった。肝ドプラーエコーでは肝静脈血流の途絶・方向異常や、逆行性に肝外門脈血流を認めた。脾腫や静脈瘤などの慢性的門脈圧亢進症所見を認めなかったことより、急性に進行したBudd-Chiari症候群と診断した。入院当日からヘパリン製剤、AT-III製剤、ウロキナーゼ製剤による抗凝固療法を開始した。血栓性素因検索を施行したが、SLE・抗リン脂質抗体症候群・血管炎疾患などの膠原病疾患は否定的であった。またプロテインS、C活性は軽度低下していた。成因の一つとして妊娠出産の影響も考えられた。血栓範囲は肝静脈内のみに限局しており、治療経過においても下大静脈や腸管血管への血栓形成は認めず、次第に臍傍静脈を介した側副血行路の発達を認め、発症初期のBudd-Chiari症候群に関して、若干の文献的考察を加え報告する。
索引用語 Budd-Chiari症候群, 肝静脈血栓症