セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 39:アセトアミノフェン大量内服により急性肝不全を発症し集中治療により救命しえた一例 |
演者 | 藤江 里美(熊本大学大学院 消化器内科学) |
共同演者 | 紙屋 康之(熊本大学大学院 消化器内科学), 工藤 洋子(熊本大学大学院 消化器内科学), 福林 光太郎(熊本大学大学院 消化器内科学), 高岡 了(熊本大学大学院 消化器内科学), 葦原 浩(熊本大学大学院 消化器内科学), 永濱 裕康(熊本大学大学院 消化器内科学), 田中 基彦(熊本大学大学院 消化器内科学), 奥田 彩子(水俣市立総合医療センター 内科), 浮池 正春(水俣市立総合医療センター 内科), 佐々木 裕(熊本大学大学院 消化器内科学) |
抄録 | 【症例】35歳 女性。【現病歴】25歳時に人格障害を発症し、近医にて入退院を繰り返していた。その間γ-GTP優位の肝障害を指摘されていた。試験外泊中、感冒様症状が出現し、市販薬Aを20錠(アセトアミノフェン換算6g)、市販薬Bを8錠(イブプロフェン換算1.15g)内服した。翌日夕刻帰院したが、夜になり全身倦怠感・嘔気・嘔吐・食欲不振の増悪を認め、血液検査でPT16%、AST14405U/L、ALT7695U/L、LDH9124U/L、T-Bil2.4 mg/dl、Crea2.78mg/dlと著明な肝腎障害を来たしていたため、前医紹介受診。急性肝不全の診断にて翌日当院へ救急搬送され、ICU入室となった。【入院後経過】入院時PT20%、肝性脳II度(羽ばたき振戦あり)、経過よりアセトアミノフェン大量内服による急性肝不全と診断し集中治療を開始した。血漿交換治療ならびに持続血液濾過透析を施行し、N-アセチルシステイン投与とステロイドパルス治療を行った。加療により5病日後、PT60%、AST147U/L、ALT384U/L、LDH234U/L、T-Bil1.3 mg/dl、Crea1.55mg/dlと肝腎機能は速やかに改善、羽ばたき振戦は消失し意識レベルは清明となった。6病日後、ICUを退室。8病日後、前医へ転院となった。【考察】今回、我々はアセトアミノフェン大量内服が原因である急性肝不全の1例を経験した。アセトアミノフェンの内服量は中毒量(150mg/kg)には達していなかったが、発症時のアセトアミノフェンの血中濃度は72μg/mlと中毒域(>50μg/ml)まで達していた。この原因としては基礎に飲酒が関連したアルコール性肝障害があったためと考えられた。本症例では、明らかなウイルス性因子は陰性であり、アセトアミノフェン中毒が原因であったが、「難治性肝疾患に関する研究班」による成因分類に従って劇症肝炎ではなく急性肝不全と診断した。入院後の治療に対する反応は良く、経過も良好であった。今回、文献的考察を含めて本症例の治療経過を報告する。 |
索引用語 | アセトアミノフェン, 急性肝不全 |