セッション情報 シンポジウム3

タイトル S3-10:

当科におけるB型慢性肝疾患の治療

演者 桑原 礼一郎(久留米大学 医学部 内科学講座 消化器内科部門)
共同演者 井出 達也(久留米大学 医学部 内科学講座 消化器内科部門), 久原 孝一郎(久留米大学 医学部 内科学講座 消化器内科部門), 緒方 啓(久留米大学 医学部 内科学講座 消化器内科部門), 宮島 一郎(久留米大学 医学部 内科学講座 消化器内科部門), 日野 照子(久留米大学 医学部 内科学講座 消化器内科部門), 古賀 郁利子(久留米大学 医学部 内科学講座 消化器内科部門), 神代 龍吉(久留米大学 医学部 内科学講座 消化器内科部門), 佐田 通夫(久留米大学 医学部 内科学講座 消化器内科部門)
抄録 【目的】B型肝炎の治療は核酸アナログ製剤が出現し大きく変化した。今回当科での核酸アナログ製剤、特にラミブジン(LMV)耐性へのLMV+アデフォビル(ADV)併用療法、及びエンテカビル(ETV)療法について検討した。【対象と方法】当院でB型慢性肝疾患に対しLMV+ADV併用投与を行った89例、ETV投与を行った56例を対象とした。1)LMV耐性株出現後ADVを併用した症例は89例であり、内22例が核酸アナログの投与前または投与中にHCCの治療歴を有した。全89例中では8例が経過中に死亡したが、何れも進行したHCCによる癌死であった。経過中にHCCの発生を認めていない症例においては、HBVに起因する肝不全死はなかった。HBV-DNA陰性化率(2.6 LC/mL未満)はADV併用開始時より3、6、9、12、24ヶ月後に各々36.9、47.6、63.2、75%であった。2)ETV投与例は56例あり、その内訳は慢性肝炎36例(うち肝癌合併2例)、肝硬変19例(うち肝癌合併6例)、無症候性キャリアに1例(抗癌剤投与のため)であった。慢性肝炎・肝硬変55例のうち、核酸アナログ製剤naïve例は27例、LMVからの切り替えが28例で、3ヶ月以上経過観察可能例は40例(naïve14例、切り替え26例)であった。naïve 14例では12例(85.7%)でHBV-DNAは測定感度未満となり、ALT値も12例(85.7%)で正常化した。切り替え例26例では、切り替え時にHBV-DNAが測定感度未満であった18例全例が切り替え後も測定感度未満を持続している。LMV投与期間が半年以上で切り替え時にHBV-DNAが2.6 LC/mLであった5例中3例でETV切り替え後にHBV-DNAが測定感度未満となった。現在のところETV耐性を疑わせるHBV-DNAの再上昇を認めた症例はない。【結語】現行のガイドラインに沿った治療で概ね良好な成績を得ている。今後の検討課題としては、LMV単剤投与中で耐性を生じていない例での治療方針、本邦でのETVの長期成績が挙げられる。
索引用語 アデフォビル, エンテカビル