| セッション情報 |
一般演題
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| タイトル |
152:肝動脈塞栓術が著効した肝内動門脈短絡(A-P shunt)の一例
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| 演者 |
大座 紀子(佐賀大学医学部附属病院 肝臓・糖尿病・内分泌内科) |
| 共同演者 |
高橋 宏和(佐賀大学医学部附属病院 肝臓・糖尿病・内分泌内科), 有尾 啓介(佐賀大学医学部附属病院 肝臓・糖尿病・内分泌内科), 河口 康典(佐賀大学医学部附属病院 肝臓・糖尿病・内分泌内科), 江口 有一郎(佐賀大学医学部附属病院 肝臓・糖尿病・内分泌内科), 水田 敏彦(佐賀大学医学部附属病院 肝臓・糖尿病・内分泌内科) |
| 抄録 |
【症例】80歳女性.02年に腹部造影CTで偶然A-P shuntを指摘されたが,無症状のため放置していた.07年5月から腹部膨満感,食欲低下,便通異常を自覚し,腹部エコー検査で大量腹水を指摘された為紹介となった.既往歴は35年前に薬剤性肝炎(詳細不明).繰り返す鼻出血なし.腹部外傷歴なし.手術歴なし.家族歴は母,妹に肝障害あり.家族内に出血傾向なし.飲酒なし.海外渡航なし.輸血歴なし【経過】初診時身体所見では,眼瞼結膜貧血と下腹部の膨隆,腹壁皮静脈怒張を認めた.浮腫なし.羽ばたき振戦なし.口腔内,口唇,皮膚外観に血管拡張なし.血清学的検査では汎血球減少と肝胆道系酵素上昇を認め,腫瘍マーカーはCA125のみ633U/mlと高値を示した.ウイルスマーカーはHBV,HCVとも既感染パターンであった.腹部造影CTでは肝両葉とも萎縮し,大量腹水を認めた.右肝動脈と門脈右枝に1ヶ所短絡路があり,動脈相にて肝動脈の蛇行・拡張,門脈右枝~本幹の早期描出・拡張を認めた.静脈系に明らかな異常は認めなかった.上部消化管内視鏡検査では上部食道から下部食道にかけて4条のRC陽性のF3 blue varicesを認めた.A-P shuntによる門脈圧亢進症状と診断し,肝動脈塞栓術を施行した.腹部血管造影検査では高度の門脈血逆流の為,門脈血流は遠肝性となっていたが,術直後速やかに求肝性の血流が出現した.治療1週間後には腹水消失した.食道静脈瘤は無加療で約1ヵ月後にはF0-1程度へ縮小し,RC陰性となった.治療後3ヶ月経過しているが,A-P shuntの再発なく,汎血球減少と肝機能障害は改善し,腫瘍マーカーも陰性化した.肝形態の改善も認めている.【考察】肝内動門脈短絡(A-P shunt)の成因は,大きく先天性と二次性に分類される.通常は外傷,医原性(外科操作,肝生検等の経皮経肝処置),腫瘍性病変,肝硬変,肝動脈瘤の破裂等により後天性に発症する.本症例ではA-P shuntを形成した明らかな誘因は指摘されなかった.肝動脈塞栓術により劇的な血行動態の変化を認め,各所見も可逆性変化を示し,興味深い症例と考えられた. |
| 索引用語 |
肝内動門脈短絡, 肝動脈塞栓術 |