セッション情報 ワークショップ1

タイトル 研-02:

高齢発症したA型急性肝炎の一例

演者 和田 桃子(国立病院機構 長崎医療センター 消化器科)
共同演者 矢野 公士(国立病院機構 長崎医療センター 消化器科), 西川 晃子(国立病院機構 長崎医療センター 消化器科), 長岡 進矢(国立病院機構 長崎医療センター 消化器科), 橋元 悟(国立病院機構 長崎医療センター 消化器科), 田浦 直太(国立病院機構 長崎医療センター 消化器科), 立山 雅邦(国立病院機構 長崎医療センター 消化器科), 小森 敦正(国立病院機構 長崎医療センター 消化器科), 阿比留 正剛(国立病院機構 長崎医療センター 消化器科), 八橋 弘(国立病院機構 長崎医療センター 消化器科), 石橋 大海(国立病院機構 長崎医療センター 消化器科)
抄録 【症例】75歳女性【主訴】全身倦怠感、食思不振、黄疸【現病歴、生活歴】4週間ほどの全身倦怠感、食思不振が続いた後、家族に黄疸を指摘され来院。二枚貝、生肉等の摂食歴なし。【入院時現症】黄疸あり、軽度の貧血を認めた。肝脾を触知せず、腹水、浮腫なし。【入院時検査所見】AST 230 IU/L、ALT 1,215 IU/L、T-Bil 10.1 mg/dl、D-Bil 6.8 mg/dl、ALP 323 IU/L, g-GTP 103 IU/L、IgM-HA 4.7 COI (陽性)、 HAV RNA 陽性。他のウイルスマーカーは陰性もしくは既感染パターン。【入院後経過】T-Bilは18.9まで上昇、PTは59.6%まで低下したものの重症化にはいたらず、肝機能異常は徐々に改善した。しかしながら、経過中に一過性の低Na血症と糖尿病の悪化を認めた。低Na血症は自然軽快したが、糖尿病は一時的にインスリン療法を要した。その後、ALT、T-Bilともに低下、全身倦怠感も軽快したため、第38病日に退院となった。【考察】現在、健常者におけるHA抗体陽性率は65歳でおよそ50%、75歳ではおよそ90%である.国立病院急性肝炎共同研究班の検討では、65歳以上では37例と全体の2.4%であった.また、年齢はA型急性肝炎の重症化因子とされており、重症化もしくは劇症化率は65歳未満で3.3%、65歳以上で10.8%であった.本例は75歳での発症とA型肝炎としてはきわめて高齢であった。通常型で経過したものの、一過性の低Na血症と糖尿病の悪化など合併症の管理を要した。一般に高齢者は抗体保有率が高くA型肝炎の発症は稀とされるが、年々抗体保有率は低下しているため、今後高齢においてA型肝炎の発生は増加する可能性がある.高齢者ではより重症化・劇症化しやすく種々の合併症を来たしやすいということを念頭に置き、管理を行う必要がある.
索引用語 A型急性肝炎, 高齢者