セッション情報 ワークショップ1

タイトル 研-08:

十二指腸潰瘍による鉄欠乏を契機に増悪した赤芽球性プロトポルフィリン症の一例

演者 東 里香(熊本大学大学院 消化器内科学)
共同演者 工藤 洋子(熊本大学大学院 消化器内科学), 藤江 里美(熊本大学大学院 消化器内科学), 福林 光太郎(熊本大学大学院 消化器内科学), 紙屋 康之(熊本大学大学院 消化器内科学), 高岡 了(熊本大学大学院 消化器内科学), 葦原 浩(熊本大学大学院 消化器内科学), 永濱 裕康(熊本大学大学院 消化器内科学), 田中 基彦(熊本大学大学院 消化器内科学), 佐々木 裕(熊本大学大学院 消化器内科学)
抄録 症例:39歳、男性。現病歴:幼少期より日光過敏を認め、平成10年に肝障害を指摘、翌年他院でポルフィリン症と診断された。平成15年、肝障害の進行あり当科紹介、赤芽球性プロトポルフィリン症(EPP)の診断のもと、シメチジン、UDCAの投与を開始。その後も肝障害は持続した。平成19年5月11日より心窩部痛、黒色便を認め、14日受診。内視鏡検査にてA2 stageの十二指腸潰瘍を認め、鉄欠乏性貧血を伴った。ランソプラゾールを投与し、心窩部痛は消失するも、6月6日に倦怠感と黄疸が出現、精査治療目的に6月8日当科入院となった。理学所見:結膜に黄疸と貧血、両手背に水疱瘢痕あり。検査所見:Hb 9.1g/dl、Fe 21μg/dl、UIBC 412μg/dl、T-Bil 6.7mg/dl、D-Bil 4.6mg/dl、AST 38U/l、ALT 81U/l、ALP 531U/l、γ-GTP 289U/lと鉄欠乏性貧血、肝胆道系酵素の上昇および赤芽球性遊離プロトポルフィリン(PP)の著明な上昇を認めた。ウイルスマーカー等の結果から、他の原因による肝障害は否定。超音波検査では肝硬変像を認めた。経過:EPPの増悪と判断し、安静、遮光、シメチジンとコレスチミドおよび鉄剤投与にて治療開始。黄疸は、第10病日のT-Bil 23.8mg/dl、D-Bil 16.0mg/dlを最高値として徐々に改善を認めたが、肝酵素は第3病日には一旦正常化するも、第20病日から再上昇を認め、一ヶ月程遷延した後、低下傾向となった。経過中に腰肢帯部を中心とした表在感覚低下、膀胱直腸障害、拘束性呼吸障害、声帯麻痺を認め、EPPに伴う神経症状が疑われたが、徐々に改善した。考察:EPPはヘム合成系の最終段階である鉄のPPへの挿入を触媒する酵素活性低下に基づく疾患であり、鉄欠乏はPP過剰を助長する。今回我々は、鉄欠乏が増悪の一因と思われたEPPの一例を経験したので、文献的考察を含め報告する。
索引用語 ポルフィリン症, 肝障害