セッション情報 パネルディスカッション7(肝臓学会・消化器病学会・消化器がん検診学会合同)

肝疾患の病態に及ぼす血小板の意義

タイトル 肝PD7-6:

肝動注化学療法を施行された進行脈管浸潤合併肝細胞癌の治療効果及び予後予測における血小板の意義

演者 新関 敬(久留米大・消化器内科)
共同演者 住江 修治(久留米大・消化器内科), 佐田 通夫(久留米大・消化器内科)
抄録 【目的】近年、血小板は血液凝固機能以外にも多彩な役割を持つ事が注目されているが、血小板値と進行肝細胞癌の治療効果及び予後との関連の報告は少ない。今回我々は、肝動注化学療法を施行された脈管侵襲合併の肝細胞癌(Stage IVA HCC)において、治療効果及び予後予測における血小板の意義を検討した。
【方法】Stage IVA HCCの診断にて肝動注化学療法を施行された112例を対象とした。その112例の中で、71例にLow-dose FP(L群)、41例にNew FP(N群)(AP&T 2010; 32: 543-550)を施行した。まずは、(1)全症例において、Coxハザードモデルにより、血小板を含めた予後予測因子の多変量解析を行った。次に(2)L群71例の保存血清を用いて血清VEGF値を測定し、治療効果、予後及び血小板数との関連性を検討した。
【結果】平均年齢:65歳、男:女=87:25、HCV:HBV:NBNC =74:26:14、Child-Pugh class (C-P)(A:B)= 70:42、VP(trunk: branch)=33:79、VV(有:無)=21:91、平均最大腫瘍径:91mm、平均血小板数;13.7万であった。(1)全112例での生存期間中央値(MST)は11.6ヶ月であった。また多変量解析において、治療効果(CR or PR)、肝予備能 (C-P A)、血小板数(12万以下)が予後における独立関連因子であり、C-P:AかつPlt:12万以下の症例のMSTは29.7ヵ月であった。 (2) L群71例において、血清VEGF(100pg/ml以下)が治療奏効に関わる独立関連因子であった。また予後における多変量解析では、治療効果(CR or PR)、肝予備能(C-P A)、血清VEGF値(100pg/ml以下)が独立関連因子として認められた。また、血清VEGF値は血小板数、最大腫瘍径と有意な正の相関が認められた。
【結論】肝動注化学療法を施行したStage IVA HCCにおいて、血清VEGF値は治療効果及び予後に関わる独立危険因子であった。血小板数は血清VEGF値と有意な相関が見られるため、治療効果及び予後における簡便かつ有用な予測マーカーになりうると思われる。
索引用語 肝動注化学療法, 血小板