セッション情報 一般演題

タイトル 15:

保存的加療にて軽快し得た盲腸周囲膿瘍の2例

演者 林 暁洋(山陰労災病院 内科)
共同演者 向山 智之(山陰労災病院 内科), 角田 宏明(山陰労災病院 内科), 神戸 貴雅(山陰労災病院 内科), 西向 栄治(山陰労災病院 内科), 謝花 典子(山陰労災病院 内科), 岸本 幸廣(山陰労災病院 内科), 古城 治彦(山陰労災病院 内科)
抄録 (症例1)60歳、男性。便秘、腹部膨満感と徐々に増大する右下腹部腫瘤を主訴に受診。来院時、右下腹部に超手拳大の圧痛を伴う弾性硬の腫瘤を認めた。また、腹部CTで盲腸を中心に周囲の腹腔内臓器を巻き込んで炎症性腫瘤を形成している所見を認めた。腹部所見にて筋性防御を認めず、緊急的な外科的処置は必要ないと判断し、入院後、抗生剤(IPM/CS 1g/日)投与にて保存的に加療を行った。第9病日から症状の軽快がみられ、腫瘤も縮小し炎症反応も低下していった。第14病日からLVFX(300mg)内服に変更したが、その後も腫瘤の増大は見られず、退院後も再燃なく経過している。(症例2)48歳、男性。発熱、右側腹部痛、右側腹部腫瘤を主訴に受診。初診時、臍右側に手拳大の圧痛を伴う弾性硬の腫瘤を触知した。腹部CTでは回盲部に膿瘍と周囲臓器を巻き込んだ腫瘤の形成、炎症性腫大と思われるリンパ節を認めた。腹部は軟で筋性防御を認めず、保存的加療を行うこととし、入院後、抗生剤(IPM/CS 1g/日)にて加療を行った。開始後、第3病日より解熱、腹痛の消失がみられ、徐々に腫瘤の縮小、炎症反応の低下を認めた。第13病日よりLVFX(300mg)内服に変更したが、その後も症状の増悪は見られず、再燃なく経過している。2例とも臨床経過と画像所見から、急性虫垂炎の穿孔により炎症性腫瘤の形成をきたしたと考えている。盲腸周囲膿瘍の治療としては、保存的加療と手術的加療があるが、明確な治療方針は定まっていない。今回、われわれは抗生剤のみの保存的加療において、腫瘤が縮小し再発を認めていない症例を2例経験したので、文献的考察を含め症例提示を行う。
索引用語 盲腸周囲膿瘍, 保存的加療