セッション情報 |
パネルディスカッション7(肝臓学会・消化器病学会・消化器がん検診学会合同)
肝疾患の病態に及ぼす血小板の意義
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タイトル |
肝PD7-7:NAFLD、C型肝炎における血小板数の臨床的意義の差異
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演者 |
児玉 和久(東京女子医大・消化器内科) |
共同演者 |
徳重 克年(東京女子医大・消化器内科), 橋本 悦子(東京女子医大・消化器内科) |
抄録 |
【目的】慢性肝疾患において血小板数は肝線維化の重症度の指標として汎用されている。しかし、血小板減少には様々な因子が関係しており、肝臓の原因疾患によっても低下率は異なる。今回、我々はNAFLD、C型肝炎における血小板数の臨床的意義を明らかにすることを目的に検討した。【対象と方法】肝生検を施行したNAFLD 620例(男性55.6%、67.4才)とC型肝炎405例(男性52.6%、54.7才)を対象とした。検討項目は、1)NAFLD、C型肝炎の線維化別血小板数の比較、2)F4(肝硬変)症例について脾腫との関連、血小板数による肝硬変診断能の比較を行った。統計処理はMann-Whitney検定を用いた。脾腫の程度は脾腫なし/軽度/中等度/高度(%)の4群に分類し検討した。1) 線維化別血小板数;NAFLDではF0-1 24万、F 2 22万、F3 18万、F4 12万で、C型肝炎ではF1 19万、F2 15万、F3 12万、F4 10万であった。線維化別血小板数の比較ではC型肝炎が有意に低値であった。(いずれもP<0.01)2) 肝硬変症例において、脾腫の各群割合(%)・各群の平均血小板数は、1) 脾腫なし:NAFLD 37%、12万/ C型 39%、10万、2)脾腫軽度:NAFLD 50%、12万/ C型 42%、10万、3)脾腫中等度:NAFLD 9%、8.8万/ C型19%、7万、4)脾腫高度:NAFLD 4%、6万/ C型0%であった。両疾患で脾腫の程度に有意差なく、脾腫の程度を一致した各群の比較でもNAFLDが血小板数高値であった。血小板数による肝硬変診断能の検討では、NAFLDではAUC 0.930(カットオフ値:血小板15.0万、感度86.7%、特異度87.6%)、C型肝炎ではAUC 0.863(カットオフ値:血小板11.1万、感度57.8%、特異度88.2%)であった。【結語】NAFLD肝硬変は、C型肝炎に比較し血小板数は比較的高値であり、日常診療において十分留置することが必要である。また両疾患の血小板数の違いは、脾腫の程度で群別しても、同様に認められた。血小板数は肝線維化の目安となるが、疾患によって低下率は異なり、原因疾患毎の肝硬変診断のための血小板数設定が必要である。 |
索引用語 |
肝線維化, 血小板 |