セッション情報 パネルディスカッション7(肝臓学会・消化器病学会・消化器がん検診学会合同)

肝疾患の病態に及ぼす血小板の意義

タイトル 肝PD7-11:

血小板低値・C型慢性肝疾患のIFN療法における脾摘・PSEの適応基準

演者 会澤 信弘(兵庫医大・内科(肝・胆・膵科))
共同演者 斎藤 正紀(兵庫医大・内科(肝・胆・膵科)), 西口 修平(兵庫医大・内科(肝・胆・膵科))
抄録 【はじめに】血小板低値のC型慢性肝疾患ではIFN治療のアドヒアランスが悪く治療効果も乏しい。そこで、IFN治療の有効性を高めるために、脾臓摘出術(脾摘)や部分脾動脈塞栓術(PSE)が推奨されている。今回、我々はC型肝硬変へのPEG-IFN/RBV療法施行例を対象に、治療成績と脾摘・PSEの有用性について検討した。【方法】(1)臨床的に肝硬変と診断し、PEG-IFN/RBV療法を施行したC型肝硬変113症例(年齢:45~79歳,性別:男性58例,ウイルス要因:1a/ 1b(全例高ウイルス量)94例,2a/2b 19例,処置:脾摘31例, PSE 2例,無処置80例)を対象に検討した。(2)全国の施設に対しIFN目的での脾摘・PSE施行症例についてアンケート調査を行った。【結果】(1)1a/1bと2a/2b症例では、SVRは(18%, 47%)であった。投与終了した92例中、治療中止は38例で、理由は副作用が20例、non-LVRが8例、肝癌発症が9例、他因死が1例であった。脾摘・PSE(処置例)では、血小板数は6.2±1.5万から16.4±5.1万に改善した。24週までのIFN投与率が80%以上の症例は、処置例では65%(17/26)、無処置例では治療前の血小板数が11.6±4.0万と有意に高値であったが、40%(29/72)に留まった。処置無と有のSVR率は、1a/1bでは21%(12/57)と11%(2/19)、2a/2bでは40%(4/10)と60%(3/5)であった。1a/1bで処置例のSVRは:IL28B TT型20%(2/10), TG/GG型0%(0/9);core 70野生型14%(1/7), 変異型9%(1/11);ISDR変異0-1 9%(1/11), 2以上14%(1/7)であり、1つでも難治要因が存在すればSVRは期待しがたかった。(2)血小板数8万以下でアドヒアランスの著しい低下がみられた。合併症は多く、脾摘788例中7例(0.89%)、PSE474例中4例(0.84%)が死亡しており、死因は9例が感染症関連であった。【結論】脾摘・PSEにより、IFN導入率とアドヒアランスは向上したが、難治例では治療効果に結び付かない。脾摘・PSEはリスクが高い侵襲的な処置であり、IFN療法目的で処置を行う場合は、HCV側の要因 やIL28Bを考慮し適応を検討すべきである。
索引用語 C型慢性肝疾患, 脾摘