セッション情報 一般演題

タイトル

上腸間膜動脈(SMA)症候群類似の経過を契機に発見された大腸癌の一例

演者 中尾 由喜(けうゆう病院 内科)
共同演者 中下 学(けうゆう病院 内科), 佐東 真弓(けうゆう病院 内科), 大竹 真一郎(けうゆう病院 内科), 是木 茂幸(けうゆう病院 内科), 冨永 友也(けうゆう病院 内科), 永田 博司(けうゆう病院 内科), 松山 正浩(けいゆう病院 外科), 古川 大輔(けいゆう病院 外科), 関 博章(けいゆう病院 外科)
抄録 症例は39歳女性。平成18年9月末より上腹部痛を自覚した。近医にて胃酸過多と診断され、制酸剤を処方されるも症状改善せず、10月13日より嘔吐が出現した。10月20日に当院救急外来を受診し、腹部CTにて胃から十二指腸下行脚の拡張を認め、十二指腸閉塞の診断にて入院となった。入院後、胃管挿入の上、禁食、輸液にて加療した。小腸造影では、椎骨付近で十二指腸の閉塞が認められ、SMA症候群を疑った。中心静脈栄養下にて、イレウス管にて保存的に加療するものの、排液量は減少せず、3週間経過しても症状の改善は認められず、外科的に手術の方針となった。術前の下部内視鏡検査にて直腸Rs付近に全周性の狭窄を認め、直腸癌が疑われた。11月22日に開腹手術を施行したところ、直腸Rs部にtype4様の腫瘍を認め骨盤内に腹膜播種と思われる結節を多数認めた。また、膵体部を主座とし後腹膜に浸潤する腫瘍を認め、トライツ靭帯は腫瘍により閉塞していた。直腸腫瘍部を切除し、胃空腸バイパスを作成し手術を終了した。摘出標本では直腸腫瘍はsignet ring cell carcinomaであった。直腸癌と腹膜播種に伴う十二指腸閉塞と診断し、術後化学療法(FOLFIRI)を施行したが、病勢コントロール困難で平成19年4月に永眠された。SMA症候群はダイエットなどに伴う急激な体重減少、開腹手術後などを契機に発症することが知られており、画像上、胃・十二指腸下行脚までの拡張と、椎骨付近での十二指腸の途絶が認められることが知られている。本症例は画像上SMA症候群と矛盾しない所見であったが、開腹手術中に直腸癌の腹膜播種に伴う十二指腸閉塞と診断された。SMA症候群類似の経過を示した大腸癌の報告は稀であり、若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 上腸間膜動脈症候群, 大腸癌