セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 血清ALTが高値を示しベザフィブラートにて改善した非アルコール性脂肪肝の1例 |
演者 | 中山 あすか(東邦大学 医学部 総合診療・急病科) |
共同演者 | 濱田 かおる(東邦大学 医学部 総合診療・急病科), 前田 正(東邦大学 医学部 総合診療・急病科), 名波 牧江(東邦大学 医学部 総合診療・急病科), 山本 竜大(東邦大学 医学部 総合診療・急病科), 久我原 明朗(東邦大学 医学部 総合診療・急病科), 石井 孝政(東邦大学 医学部 総合診療・急病科), 原 規子(東邦大学 医学部 総合診療・急病科), 本田 善子(東邦大学 医学部 総合診療・急病科), 加藤 博人(東邦大学 医学部 総合診療・急病科), 日毛 和夫(東邦大学 医学部 総合診療・急病科), 渡辺 周治(東邦大学 医学部 総合診療・急病科), 瓜田 純久(東邦大学 医学部 総合診療・急病科), 中西 員茂(東邦大学 医学部 総合診療・急病科), 島田 長人(東邦大学 医学部 総合診療・急病科), 杉本 元信(東邦大学 医学部 総合診療・急病科), 谷川 佳世子(東邦大学 医学部 病院病理), 野中 博子(東邦大学 医学部 病院病理), 渋谷 和俊(東邦大学 医学部 病院病理) |
抄録 | 非アルコール性脂肪肝は一般に食事療法で肥満を解消すると改善する例が多い。最近われわれはALTが高値を示し、減量で改善せず、ベザフィブラートが奏功した1例を経験したので報告する。症例:32歳独身男性。職業:コンピュータ関係(座業)。飲酒歴:週1回ビール1本程度。家族歴・既往歴:特記事項なし。現病歴:1998年会社の健診にて軽度肝障害(AST/ALT 30/88 IU/l)を指摘され、翌年11月AST/ALT 231/409 IU/lまで上昇したため、2000年1月精査目的にて当院入院となった。倦怠感や食欲不振など自覚症状はなかった。身体所見:身長164.5cm、体重69kg(BMI25.5)、黄疸を認めず、肝2横指触知する他異常を認めなかった。検査所見:WBC 5,300/μl、RBC 527万/μl、Hb 15.9 g/dl、Plt 20.6万/μl、TP 7.8 g/dl(Alb 64.3%、γGl 13.6%)、T-Bil 1.0 mg/dl、D-Bil 0.2 mg/dl、AST 205 IU/l、ALT 508 IU/l、ALP 278 IU/l、γGTP 271 IU/l、T-C 178 mg/dl、HDL-C 58 mg/dl、T-G 255 mg/dl、FPG 105 mg/dl、PT 11.8秒、HPT 118%、ICG-R15 3%、HBs抗原-、HCV抗体-、抗核抗体-。超音波検査で「まだら脂肪肝」の所見を認めた。肝生検では小葉内約1/4の範囲の肝細胞に小~大滴性の脂肪沈着を認め、脂肪滴の近傍に巣状壊死を散見、門脈域は炎症細胞浸潤をごく軽度に認めるのみで、線維性拡大は認めず、軽度脂肪肝と診断された。臨床経過:体重を65kg(BMI23.7)に減量したがALTの乱高下が続き、ポリエンホスファチジルコリンやウルソデオキシコール酸の投与を行ったが無効であった。T-G高値が持続し、2003年8月AST/ALT 94/292 IU/lと上昇したため、10月よりベザフィブラート400mg/日の内服投与を開始したところ、以後ALTが 100 IU/l以上に上昇することがなくなり、画像上も改善を認め、経過良好である。肝機能評価の目的で各種呼気試験を行い、酢酸代謝の低下を認めた。考案:脂肪肝でALTが400 IU/l以上を示す例は稀である。本例は当初NASHが疑われたが、肝生検にて否定的された。ベザフィブラートが奏功しており、示唆に富む症例と考え報告する。 |
索引用語 | 脂肪肝, ベザフィブラート |