セッション情報 |
パネルディスカッション8(肝臓学会・消化器病学会合同)
東アジアにおける肝疾患の問題点と治療の特色
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タイトル |
肝PD8-7:東アジアにおけるB型肝炎発癌予測モデルの有用性:日本人に基づくデータマイニング・モデルの国外コホート検証、および国外発癌予測スコアの日本人コホートによる検証
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演者 |
黒崎 雅之(武蔵野赤十字病院・消化器科) |
共同演者 |
中西 裕之(武蔵野赤十字病院・消化器科), 泉 並木(武蔵野赤十字病院・消化器科) |
抄録 |
【目的】東アジアはB型肝炎ウイルス(HBV)感染者が多い地域であり、発癌抑止を目標とした治療が重要課題である。我々は発癌予測データマイニング・モデルを提唱し、Hong KongのYuen、Wongらはそれぞれ独自の発癌予測スコアを発表している。本研究では、国内外の発癌予測モデルを相互に外部検証した。【方法】B型慢性肝炎437例を対象としたデータマイニング解析により発癌予測モデルを作成し、Hong Kongコホート525例で外部検証した(共同研究:Man-Fung Yuen, University of Hong Kong)。YuenらのGAG-HCC score、およびWongらのHCC prediction scoreを当院症例で外部検証した。発癌リスクで層別化し核酸アナログによる発癌抑止効果を解析した。【成績】Core promoter(CP)変異、年齢、血小板数、HBVDNA量を判別因子とするデータマイニング・モデルで分類された7グループの5年発癌率は、人種やgenotype分布の異なるHong Kongコホートでも再現された(日本0%~30% vs Hong Kong 0%~37.8%、r2=0.87)。GAG-HCC scoreの日本人コホートによる検証では、AUROC 0.872、感度69%、特異度85%、高vs 低スコアの5年発癌率41.6% vs 3.7%、HCC prediction scoreではAUROC 0.793、感度56%、特異度82%、高vs 低スコアの5年発癌率35.1% vs 6.8%であり、Hong Kongのコホートに基づくスコアの有用性が日本人でも確認できた。核酸アナログ非投与 vs 投与例の5年発癌率は、データマイニング・モデルの高リスクグループで16% vs 4%、GAG-HCC score高スコア例で20% vs 13%であり、核酸アナログにより高リスク例の発癌率が低下した。【結論】国内外の発癌予測モデルは、人種、genotypeの分布を超えて東アジア地域における発癌予測に有用である。東アジア地域のB型肝癌を抑止するためには、ALT値やHBV DNA量のみならず発癌リスクも勘案して抗ウイルス治療を行うことが重要である。 |
索引用語 |
発癌, 予測 |