セッション情報 パネルディスカッション9(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

原因不明消化管出血の診断と治療―顕在性(Overt) vs 潜在性(Occult)

タイトル 内PD9-6:

原因不明消化管出血に対するダブルバルーン小腸内視鏡を用いた内視鏡的アプローチの現状~阪大小腸study groupにおける多施設検討~

演者 前川 聡(大阪大・消化器内科)
共同演者 小森 真人(大阪労災病院・消化器内科), 竹原 徹郎(大阪大・消化器内科)
抄録 【目的】原因不明消化管出血(OGIB)に対するダブルバルーン内視鏡(DBE)を用いた内視鏡的アプローチの現状について、顕在性出血例と潜在性出血例を区別し、検討する。【方法】大阪大学関連8施設(阪大小腸study group)においてDBEが施行されたOGIB 265症例445回の多施設後ろ向き検討。吐下血、血便などの肉眼的出血が確認されたOGIB症例を顕在性出血例、貧血や便潜血検査陽性(化学法、免疫法)にてDBEが施行された症例を潜在性出血例とした。【成績】顕在性出血例は220症例に対して計365件のDBEが施行された。平均年齢は50.4歳(15-84歳)、男性135例、女性85例。有所見率は55%(120/220例)で、びらん・潰瘍性病変が34%(43/120例)、血管性病変が19%(23/120例)、腫瘍性病変が12%(14/120例)であった。その他の病変としてはMeckel憩室5例、Crohn病4例、小腸憩室3例などで、小腸外病変は19%(23/120例)であり、大腸憩室が13例であった。経口DBE49例、経肛門DBE71例で病変が指摘された。潜在性出血例は45症例に対して計79回のDBEが施行された。平均年齢は65.5歳(17-84歳)、男性29例、女性16例。有所見率は51%(23/45例)で、びらん・潰瘍性病変が43%(10/23例)、血管性病変は17%(4/23例)、腫瘍性病変は17%(4/23例)であった。その他の病変としてはCrohn病が2例、小腸憩室が1例であった。小腸外病変として大腸血管性病変が8.7%(2/23例)に認められた。経口DBE12例、経肛門DBE11例で病変が指摘された。【結論】潜在例・顕在例共にびらん・潰瘍性病変の有所見率が最も高かった。顕在例では潜在例と比べ経肛門DBEでの有所見率が高く、大腸憩室などの小腸外病変がより多く含まれていた。潜在例においても顕在例と同程度の小腸病変が認められ、DBEは潜在性・顕在性両者の消化管出血の診断に有用であると考えられた。
索引用語 小腸, OGIB