セッション情報 パネルディスカッション9(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

原因不明消化管出血の診断と治療―顕在性(Overt) vs 潜在性(Occult)

タイトル 内PD9-7:

当院での原因不明の消化管出血におけるカプセル内視鏡の有用性についての検討

演者 小形 典之(昭和大横浜市北部病院・消化器センター)
共同演者 大塚 和朗(昭和大横浜市北部病院・消化器センター), 工藤 進英(昭和大横浜市北部病院・消化器センター)
抄録 【目的】カプセル内視鏡(CE)とバルーン内視鏡(BE)の登場により、簡便に小腸病変の観察が可能となった。当院では原因不明の消化管出血(OGIB)に対しovert-ongoing bleedingの症例でもvitalが安定していればCEを先行するストラテジーで検査を行っている。今回、当院で小腸内視鏡検査を施行した症例で、OGIBに対する検査ストラテジーについて検討を行った。【方法】当院において、2005年2月から2012年1月までに施行したCE148例、シングルバルーン内視鏡(SBE)446例を対象とした。そのうちOGIB186症例を当院CE導入後の2008年9月からCE先行で検査を行った138症例(CE群)と2008年8月までのSBE先行で検査を行った48症例(SBE群)に分け、さらに、A;overt-ongoing bleeding、B;overt-previous bleeding,C;occult bleedingの3群に分け、出血源同定率等の比較検討を行った。【成績】CE群において、A;29症例、B;81症例、C;28症例であった。Aでは、48.3%(14/29)に出血性病変を認め、その後38.0%(11/29)でSBE施行し、17.2%(5/29)で止血処置を行った。Bでは、32.1%(26/81)に出血性病変を認め、その後34.6%(28/81)でSBE施行し、8.6%(7/81)で止血処置を行った。Cでは、35.7%(10/28)に出血性病変を認め、その後46.4%(13/28)でSBE施行し、14.3%(4/28)で止血処置を行った。SBE群において、A;15症例、B;24症例、C;9症例であった。Aでは、53.3%(8/15)に出血性病変を認め、26.7%(4/15)で止血処置を行った。Bでは、29.2%(7/24)に出血性病変を認め、12.5%(3/24)で止血処置を行った。Cでは、44.4%(4/9)に出血性病変を認め、11.1%(1/9)で止血処置を行った。Aも含めBCで、CE群とSBE群では、出血源同定率、止血処置率ともに有意差は認めなかった。OGIBに対し、非侵襲的なCEを先行する検査はSBE先行の検査と同等の成績であることが示唆された。【結論】OGIB症例においてCEを先行する検査ストラテジーは有用であると考えられた。
索引用語 カプセル内視鏡, OGIB