セッション情報 パネルディスカッション9(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

原因不明消化管出血の診断と治療―顕在性(Overt) vs 潜在性(Occult)

タイトル 内PD9-8:

原因不明消化管出血(OGIB)症例の検討ーバルーン内視鏡(BE)とカプセル内視鏡(CE)の比較ー

演者 中堀 昌人(仙台厚生病院・消化器内視鏡センター)
共同演者 松田 知己(仙台厚生病院・消化器内視鏡センター), 長南 明道(仙台厚生病院・消化器内視鏡センター)
抄録 【目的】当センターにおけるOGIBのアルゴリズムは、Overt-ongoingで出血が重篤な症例は原則としてBEを1st choiceに、Overt-ongoingで緊急性の低い軽症例やOvert-previous・Occult OGIB例はCEを1st choiceとして小腸内視鏡検査を選択している。今回、我々はOGIB症例におけるBE ・CE の成績について検討した。 【対象】BE症例は2004年4月から2011年9月までのOGIB 250例(Overt 192例、 Occult 58例) で、CE症例は2007年7月から2011年9月までのOGIB 250例(Overt 178例、Occult 72例)である。 【成績】BE症例の有所見率は、Overt群57.3%、Occult群50.0%で、所見の内訳は、びらん・潰瘍・炎症性病変がOvert 41.8%、Occult 41.3 %、血管性病変がOvert 25.5%、Occult 10.4 %、腫瘍性病変がOvert 17.3%、Occult 44.8 %、小腸憩室がOvert 17.3%、Occult 3.5%で、Occult群で腫瘍性病変の割合が高かった。CE症例の有所見率は、Overt群55.1%、Occult群47.2%で、所見の内訳は、びらん・潰瘍・炎症性病変がOvert 55.1%、Occult 55.9%、血管性病変がOvert 26.5%、Occult 29.4 %、腫瘍性病変がOvert 9.2%、Occult 8.8 %、小腸憩室がOvert 4.1%、Occult 0%、病因不明の活動性出血がOvert 5.1%、Occult 5.9%であった。CE症例では両群の所見の内訳に相違は認めなかった。小腸憩室の有所見率がBEで高値であった。小腸外病変がBEで20.0%、CEで2.4%に認められた。CEとBEの併用症例は103例(Overt 82例、Occult 21例)で、Overt例で 20.7%に、Occult例で 33.3%において内視鏡所見が一致しなかった。 【結論】OGIB診断の向上には、BE・CEの特性や症例毎の病態や臨床経過を考慮し、両検査の併用や他のモダリティーも含めた診断アルゴリズムの検討が必要である。
索引用語 OGIB, 小腸