セッション情報 パネルディスカッション9(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

原因不明消化管出血の診断と治療―顕在性(Overt) vs 潜在性(Occult)

タイトル 内PD9-9:

潜在性の原因不明消化管出血の診断

演者 半田 修(京都府立医大大学院・消化器内科学)
共同演者 堀江 秀樹(京都府立医大大学院・消化器内科学), 内藤 裕二(京都府立医大大学院・消化器内科学)
抄録 【背景】原因不明の消化管出血(OGIB)症例の診断における、最終的な責任病変診断率についてはいまだに高いとは言いがたい。これまでに当院では顕在性OGIB症例に対する緊急カプセル小腸内視鏡検査(緊急CE)の有用性を報告してきた。一方、潜在性OGIB症例に対する診断ならびに治療については現況も含めて検討が不十分であった。【目的】潜在性OGIBの最終診断に至るまでの経過と問題点を検討し、潜在性OGIBに対する効果的な診断ストラテジーを確立することを目的とした。【対象/方法】2008年1月から2011年12月までにOGIBに対して当院でCEを施行した285症例のうち、顕在性OGIB(85症例)、潜在性OGIB(200症例)について、CE診断を検討するとともに、ダブルバルーン小腸内視鏡(DBE)も併用した症例について最終診断を比較し、潜在性OGIBの診断における効果的なストラテジーを探った。【結果】当院では顕在性OGIBに対しては顕出血から24時間以内に施行する緊急CEを実施しており、診断において一定の成果を上げている。一方、潜在性OGIBでは、活動性の出血もしくは凝血塊を検出した例は3例であった。顕在性OGIBのCE診断としては血管性病変(angioectasia、大腸憩室出血疑いなど)が22例、粘膜病変(薬剤性小腸粘膜傷害、クローン病など)が14例、腫瘍性病変(小腸癌など)が2例、異常所見なし/軽微な所見が27例であった。一方、潜在性OGIBのCE診断としては血管性病変が30例、粘膜病変が66例、腫瘍性病変が22例、その他の病変(条虫など)が、22例、異常所見なし/軽微な所見が61例であった。潜在性OGIB症例においてDBEを施行した症例では診断の一致率は53%であった。【結論】潜在性OGIB症例に対するCEの異常所見検出率は69.5%であり、顕在性OGIB症例での検出率68.2%と同等であり、潜在性OGIB症例に対してもCEは有用であると考えられる。特に、粘膜病変に対しては積極的にCEを選択すべきであると考えられた。
索引用語 カプセル内視鏡, 潜在性原因不明消化管出血