セッション情報 |
パネルディスカッション9(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)
原因不明消化管出血の診断と治療―顕在性(Overt) vs 潜在性(Occult)
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タイトル |
消PD9-10:当院における原因不明消化管出血診断に対するカプセル内視鏡、バルーン内視鏡の有用性
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演者 |
松村 倫明(千葉大・消化器内科DELIMITER千葉大・光学医療診療部) |
共同演者 |
新井 誠人(千葉大・消化器内科), 横須賀 收(千葉大・消化器内科DELIMITER千葉大・光学医療診療部) |
抄録 |
【目的】近年、原因不明の消化管出血(OGIB)の精査目的にカプセル内視鏡(CE)やバルーン内視鏡(BAE)の有用性が複数報告されているが、顕在性(Overt)、潜在性(Occult)に分けてその詳細を検討した報告は少ない。そこで今回我々は、OGIBをOvert ongoing(Oo群)、Overt previous (Op群)、Occult(Oc群)の3群にわけ、CEとBAEのOGIB症例に対する有用性について検討した。【方法】対象は、2007年10月から2012年2月までに当院で行ったCE418件中、OGIBの精査目的に施行した287件(Overt ongoing 5例、Overt previous 237例、Occult 45例、男性167例、女性120例、平均年齢65.8±15.7歳)とした。BAE単独またはCE施行前にBAEを施行した症例は除外した。CE有所見に関わる因子の検討は、臨床的背景(性別、年齢、薬剤内服の有無、併存疾患、出血からCE施行までの期間)について多変量解析を用いて検討した。【成績】CEの有所見率は、Oo群100%、Op群31.2%、Oc群51.1%でありOp群で有意に低値であった(オッズ比2.3 p=0.01)。病態別には、腫瘍性病変をOp群で5例(2.1%)、Oc群3例(6.6%)認めたが、有意差は認めなかった。また血管性病変、粘膜性病変に関しても同様に有意差は認めなかった。CE有所見に関わる因子の検討では、Op群の無所見群においてCE施行までの期間が有意に長い事があげられた(16.8±26.2 vs. 26.9±28.7日 p=0.02)。CEにて所見を認めなかった症例185例中40例に対してBAEが施行された。うち7例(17.5%)に粘膜性病変を認め、2例に内視鏡的治療を行った。新たに認めた腫瘍性病変、血管性病変は認めなかった。【結論】Overt previous症例においてはCEの有所見率が他より低く、その原因として出血から検査までの期間が長い事があげられた。またCEとBAEとの比較検討では、CEにおいて粘膜性病変の見落し例が多くみられた。 |
索引用語 |
OGIB, CE |