セッション情報 シンポジウム1

タイトル S1-10:

当院の食道ESDの現状および全身麻酔下のESD

演者 岡江 耕二郎(鹿児島市医師会病院 消化器内科)
共同演者 宇都宮 民治(鹿児島市医師会病院 消化器内科), 下川原 尚人(鹿児島市医師会病院 消化器内科), 伊東 徹(鹿児島市医師会病院 消化器内科), 中武 信純(鹿児島市医師会病院 消化器内科), 小牧 祐雅(鹿児島市医師会病院 消化器内科), 鉾之原 英(鹿児島市医師会病院 消化器内科), 岩切 裕二(鹿児島市医師会病院 消化器内科), 内園 均(鹿児島市医師会病院 消化器内科), 山口 淳正(鹿児島市医師会病院 消化器内科), 高城 千彰(鹿児島市医師会病院 病理診断科), 清水 健(鹿児島市医師会病院 病理診断科), 坪内 博仁(鹿児島大学大学院消化器疾患・生活習慣病学)
抄録 当院では2003年より食道腫瘍に対するESDを導入し、2003年4月より2008年3月までの5年間で76件のESDを施行している。全76件の内訳は食道癌(SCC)60件・食道異型上皮10件・粘膜下腫瘍2件・判定不能4件で、偶発症は穿孔6.6%(5/76),後出血1.1%(1/76)であった。食道癌60件の一括切除率98%(59/60)・一括完全切除率88.3%(53/60),食道異型上皮10件の一括切除率90%(9/10)・一括完全切除率80%(2/10)であった。術者は5名で、各人とも主としてITナイフを使用しているが、状況に応じてHookナイフなど他のデバイスを併用している。また、当院では原則として経静脈麻酔下でESDを施行しているが、食道癌中2件は頚部食道病変であり、誤嚥の危険性が高く、内視鏡操作も困難と予想され、全身麻酔下でESDを施行した。【症例1】75歳男性。2006年6月,2007年1月に胸部中部食道癌にてESD施行。経過観察中の2007年3月に切歯より約20cmにルゴール不染帯を認め、SCCの生検診断。 同月に全身麻酔下にESD施行(所要時間195分)。SCC,type 0-IIc,12×10mm,pT1a(pLPM),ly0,v0,LM(-),VM(-) の病理診断。【症例2】78歳男性。1996年に胸部食道癌にて食道亜全摘術・胃管再建術(胸骨前再建)・放射線治療を施行。経過観察中の2008年6月に切歯より約17cmにルゴール不染帯を認め、高度異型上皮の生検診断。 同7月に全身麻酔下にESD施行(所要時間220分)。SCC,type 0-IIc,10×11mm,pT1a-LPM,ly0,v0,pHM0,pVM0 の病理診断。【まとめ】当院のクリティカルパスではESD施行日より1週間後を退院日としているが、全身麻酔下で施行した食道癌は、誤嚥性肺炎など合併症なく経過し、2例ともパス通り退院可能であった。他に早期胃癌症2例(同一症例で異時多発)でも慢性呼吸不全合併(左胸郭形成術後)のため全身麻酔下でのESDを施行しているが、垂直断端陽性(瘢痕部)で追加APCを行い入院期間延長となった以外は、パス通り退院可能であった。現状では頚部食道病変・肺疾患合併例のみを全身麻酔下ESDの対象としているが、より安全にESDを遂行するために、推定施行時間も考慮した上での麻酔法の検討が必要である。
索引用語 ESD, 全身麻酔