セッション情報 パネルディスカッション9(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

原因不明消化管出血の診断と治療―顕在性(Overt) vs 潜在性(Occult)

タイトル 内PD9-12:

当院におけるOvert ongoing OGIB症例の検討

演者 佐々木 清貴(北海道消化器科病院・内科)
共同演者 加藤 貴司(北海道消化器科病院・内科), 堀田 彰一(北海道消化器科病院・内科)
抄録 <はじめに>OGIBのなかでもOvert ongoing bleedingは緊急治療の適応となる場合が多く、より早期に疾患に対するストラテジーを立てることが重要と考える。現在、当院ではすべてのOGIBに対し、可能な限り造影CTやVCEを施行し、DBEにて確定診断および治療を施行している。今回我々は、当院で経験したOvert ongoing OGIB症例を中心に検討を施行した。<対象と方法>2003年より当院にて小腸内視鏡検査(DBE,VCE)を施行された777例のうちOGIBにて精査施行された386例につき検討をおこなった。<結果>当院にて2003年~2012年OGIBに対する小腸内視鏡検査はDBE196例、VCE190例の386例に施行された。OGIB症例中Occult bleedingは95例、Overt bleedingは291例であった。Overt bleeding(previous,ongoing)症例中、Overt ongoing bleedingは31例(10.7%)であった。Overt ongoing bleedingをきたした疾患は、血管性病変(angioectasia、Dieulafoy潰瘍、静脈瘤),腫瘍性病変(GIST)、メッケル憩室、術後吻合部出血であった。血管性病変に対しては全例内視鏡的止血が有効であったが、他疾患は手術を必要とした。Overt ongoing bleedingをきたすこれらの疾患は持続出血により循環動態が不安定となるため、早急な確定診断を必要とするが、造影CTやVCEは病変の部位や性状の同定、疾患に対する治療法(内視鏡的止血、IVR止血、手術)を選択する上で重要であり、確定診断としてのDBE前に施行されるのが望ましいと考えられた。<結論>Overt ongoing bleedingは根治療法が必至であるため、疾患の特徴に応じた治療をより早期に選択することが重要であると考えられた。
索引用語 OGIB, 小腸内視鏡