セッション情報 ワークショップ1

タイトル W1-04:

当施設における切除不能悪性中下部胆道狭窄に対する胆道内瘻術の現状

演者 中武 信純(鹿児島市医師会病院 消化器内科)
共同演者 鉾之原 英(鹿児島市医師会病院 消化器内科), 小牧 祐雅(鹿児島市医師会病院 消化器内科), 岡江 耕二郎(鹿児島市医師会病院 消化器内科), 伊東 徹(鹿児島市医師会病院 消化器内科), 宇都宮 民治(鹿児島市医師会病院 消化器内科), 下川原 尚人(鹿児島市医師会病院 消化器内科), 岩切 裕二(鹿児島市医師会病院 消化器内科), 内園 均(鹿児島市医師会病院 消化器内科), 山口 淳正(鹿児島市医師会病院 消化器内科), 坪内 博仁(鹿児島大学大学院消化器疾患・生活習慣病学)
抄録 【はじめに】切除不能悪性胆道狭窄に対するEMSの有用性に関する報告が増加している。しかし欧米ではコストを優先しチューブステントを選択するといった意見もある。今回中下部胆道狭窄に対して経乳頭的内瘻術を施行した症例のステント開存期間に関し、EMS群とチューブステント群、およびEMS例においては、その先端位置が胆管内の乳頭機能温存群と十二指腸内の非温存群間の比較検討行った。また当施設で近年使用頻度が増加しているNiti-Sステントの有用性も含め、当施設における胆道内瘻術の現状に関し報告する。【対象と方法】2006年4月~2008年3月までの期間に中下部悪性胆道狭窄に対する内瘻術を行い、その後の経過を確認し得た37例を対象とした。このうちEMS留置群(以下E群)は19例、チューブステント留置群(以下T群)は18例であった。原疾患別には膵癌(8:10)例、中下部胆管癌(5:7)例、胆嚢癌(6:1)例と膵癌例が最も多かった。次に対象期間中の乳頭機能非温存例は全て原疾患が膵癌であった為、今回の乳頭機能の温存・非温存間を比較する対象は膵癌例のEMS留置群とした。乳頭機能温存例、非温存例ともに4例であった。EMSの種類に関しては、2005年以降ほぼ90%がNiti-Sステント使用例であった。【成績】平均開存期間は、E群150日、T群112日であり、E群が長い傾向があった。このうち症例数の多かった膵癌例においても、E群167日、T群91日と同様の結果であった。乳頭機能温存群での平均開存期間は175日、非温存群で179日、両群間に差は認めなかったが、非温存群のうち1例は食物残渣による閉塞であった。Niti-Sステントの平均開存期間は150日、2004年前のEMS群は157日と両群間に差は認めなかった。【結論】膵癌例を含め悪性下部胆道狭窄全体に関するドレナージ法は、可能な限り乳頭機能を温存したEMS留置が望ましい。またEMSの種類に関しNiti-Sステントは、開存期間において他のEMSと同等で、また柔軟性が高く胆管の走行に沿った留置が可能であるため、有用な選択肢であると思われた。
索引用語 胆道ドレナージ, EMS