セッション情報 パネルディスカッション9(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

原因不明消化管出血の診断と治療―顕在性(Overt) vs 潜在性(Occult)

タイトル 内PD9-15:

Occult OGIB例に対する小腸内視鏡検査の意義 -overt OGIB例と比較して-

演者 亘 育江(広島大・内視鏡診療科)
共同演者 岡 志郎(広島大・内視鏡診療科), 茶山 一彰(広島大・消化器・代謝内科)
抄録 【背景】近年、overt OGIB例に対しては小腸内視鏡検査が積極的に行なわれているが、occult OGIB例に対しては検査適応も含めて十分なコンセンサスが得られていない。【対象と方法】当科で2011年11月までにカプセル内視鏡検査 (CE)またはダブルバルーン内視鏡検査 (DBE)を施行したOGIB患者494例 (occult群 118例、overt群 376例)を対象とし、occult群とovert群別に患者背景、小腸病変の有所見率について比較検討した。なお、今回の検討ではovert群のうちongoig出血例は除外した。また、CE、DBEともに全小腸観察可能であった症例の所見一致率も検討した。【結果】患者背景では、両群間で平均年齢、性別、検査時Hb値で差を認めなかった。輸血はovert群135例 (36%)でoccult群22例 (19%)と比べて有意に多かった (P <0.01)。小腸病変は、occult群53例 (45%)、overt群145例 (39%)に認め両群間に差を認めなかった。小腸病変の内訳は、occult群では潰瘍性病変25例 (47%)、血管性病変17例 (32%)、腫瘍性病変10例 (19%)、その他1例 (2%)、overt群では潰瘍性病変71例 (49%)、血管性病変43例 (30%)、腫瘍性病変26例 (18%)、その他5例 (3%)で両群に差を認めなかった。CE、DBEともに全小腸を観察した症例の所見一致率は、occult群 100% (11/11)、overt群 84% (49/56)であった。不一致例は全てCE偽陰性例で、小腸術後症例2例、十二指腸水平脚のangioectasia 1例、上部空腸GIST 1例であった。【まとめ】occult群はovert群と比較して小腸病変の有所見率や疾患頻度に差はなく、occult OGIB例に対して積極的なCEを行なうべきである。(共同研究者:田中信治、青山大輝)
索引用語 occult OGIB, overt OGIB