セッション情報 パネルディスカッション10(消化器病学会・消化器内視鏡学会・消化器外科学会合同)

消化管GIST治療の進歩と長期予後

タイトル 内PD10-2:

EUS-FNAによるGISTの早期診断早期治療の取り組み

演者 赤星 和也(麻生飯塚病院・消化器内科)
共同演者 小森 圭司(麻生飯塚病院・消化器内科), 本村 廉明(麻生飯塚病院・消化器内科)
抄録 【目的】GIST早期診断早期治療におけるEUS-FNAの臨床的有用性の検討。【方法】当院のGIST診療のアルゴリズムでは、内視鏡的に粘膜下腫瘍と診断された病変にはまず一次検査としてEUSを施行し、脂肪腫、のう胞、明らかな迷入膵と診断された病変は経過観察を、1cm以上の低エコー充実性腫瘤と診断されたものには、二次検査としてEUS-FNAを施行し、GISTであれば外科的切除またはイマチニブ投与を、その他の疾患にはそれぞれの組織診断に対応した治療を行っている。2002年9月から2012年3月までに、EUSにて1cm以上の低エコー充実性腫瘤と診断され、鑑別診断のためEUS-FNAを施行した210例(男女比80:130,平均年齢63才)を対象とした。穿刺針は22Gを主に使用し、全病変に対して免疫組織化学的染色を行った。EUS-FNA所見とその後の治療方針、術後病理組織所見および経過観察所見(期間1~113ヶ月:平均28ヶ月)を対比しEUS-FNAの臨床的有用性を検討した。【成績】病変存在部位は食道17例、胃167例、十二指腸8例、直腸18例であった。安全な穿刺経路が得られず穿刺を中止した6例を除いた204例でのEUS-FNAの適正検体採取率は87%(178/204)であった。FNA診断がGISTは111例でその内、診断時転移を認めなかった91例(20例は手術拒否)は外科的切除がなされた。術後の経過観察期間中の腫瘍径別転移率は、1-2cmで0%(0/38), 2.1-5cmで4% (2/47), 5cm<0% (0/6)であった。GIST診断時転移を認めた6例にはイマチニブが投与されたが1名が腫瘍死した。NonGISTと診断された症例の99%(66/67)(FNA診断神経鞘種の一例が術後GIST)で手術や化学療法等疾患毎の適切な治療がなされた。外科切除のなされた108例における GIST or NonGISTの鑑別診断能は正診率96%(104/108), 感度99%(88/89), 特異度84%(16/19)であった。偶発症は出血を一例(0.5%)に認めた。【結論】EUS-FNAはGISTの免疫組織化学学的診断を安全かつ正確に施行できるため、SMTに対するその積極的施行はGISTの早期診断早期治療を可能とし、本疾患の予後改善に貢献すると考えられる。
索引用語 GIST, EUS-FNA