セッション情報 パネルディスカッション10(消化器病学会・消化器内視鏡学会・消化器外科学会合同)

消化管GIST治療の進歩と長期予後

タイトル 消PD10-3:

GISTにおけるruptureは予後に影響を与える因子か?

演者 地口 学(横浜労災病院・消化器病センターDELIMITER明神台クリニック)
共同演者 長 晴彦(神奈川県立がんセンター・消化器外科), 永瀬 肇(横浜労災病院・消化器病センター)
抄録 【背景】GISTは腹膜再発の頻度が高く、ruptureの有無は臨床成績を左右する重要な因子である(Takahashi, Joensuu)。しかし、頑健な被膜を持たないGISTのruptureを肉眼的に判断するのは容易ではなく、また、術中損傷など暴露時間の短いruptureの扱いも不明である。【対象と方法】当院で外科切除を行い術後5年以上経過するGIST51例のうち、肉眼的rupture(疑いも含む)と判定した10例を対象とし、ruptureの臨床的意義を検討した。【結果】患者背景は、年齢中央値:62歳(44-80)、男:60%、胃原発:80%、腫瘍径中央値:4.3cm(2.5-12)、核分裂像数中央値:6/50HPF(1-297)。rupture因子によって4例がFletcher分類でのカテゴリーからJoensuu分類でのカテゴリーが変更(中→高:3例、低→高:1例)となったが、それらはいずれも無再発。ruptureの内容は、腫瘍形態や手術操作に伴い偽被膜損傷のみが疑われるもの:7例、すでに明らかな露出があるものや切除時やむを得ず腫瘍内部まで露出したもの:3例。内部露出の3例(adjuvant施行: 1例、未施行: 2例)は術後早期に再発を認めたが、他の7例(adjuvant施行: 4例、未施行: 3例)は無再発で経過。初回再発形式は全例局所・腹膜再発であった。術後再発と腫瘍径・核分裂像数など、rupture以外のリスク因子との間に明らかな相関は認めなかった。【結語】明らかなruptureは腹膜再発に関与しうる因子と思われたが、低/中リスク症例でのminor ruptureはstage migrationを生じるほどのインパクトはなく、ruptureの評価には暴露時間や暴露形態も加味する必要があると思われた。
索引用語 GIST, rupture