セッション情報 パネルディスカッション10(消化器病学会・消化器内視鏡学会・消化器外科学会合同)

消化管GIST治療の進歩と長期予後

タイトル 外PD10-5:

切除不能・転移性GISTに対するイマチニブ治療:長期治療の耐容性と生存成績

演者 神田 達夫(新潟大・消化器・一般外科)
共同演者 石川 卓(新潟大・消化器・一般外科), 廣田 誠一(兵庫医大・病理学(病院病理部門))
抄録 【背景と目的】チロシン・キナーゼ阻害薬イマチニブは切除不能・転移性GIST患者の予後を改善したが、その長期の耐容性や生存に関するデータは乏しい。日本人GIST患者におけるイマチニブ治療の長期成績を明らかにする。【研究デザイン】単一施設における前向き観察研究。【患者と治療】2001年12月から2009年12月までに70名の切除不能・転移性GIST患者が登録され、新潟大学医歯学総合病院でイマチニブ治療を受けた。男性38名、女性32名。平均年齢は64.3歳(39~85歳)。80歳以上の患者を7名含んだ。開始投与量は400 mg/日に定めた。副作用に応じて減量したが、可能な限り300 mg/日以上の用量を維持した。観察期間の中央値は68か月であった。【結果】抗腫瘍効果はCR7名、PR36名、SD17名、PD6名、NE4名であった(奏効率61.4%)。2012年2月現在、20名の治療が継続されており、無効、耐性以外の治療終了は11名(16%)であった(不耐5名、患者希望6名)。20名の患者が5年以上の内服を継続した。イマチニブの維持量は400 mg/日が37名、300 mg/日が28名、300 mg/日未満が5名であった。SD以上の有効例60名の5年無増悪生存率は37.9%、無増悪期間の中央値は34か月、内服期間の中央値は45か月であった(最長122か月)。全70名の5年全生存率は60.9%、50%生存期間は70か月であった。7名(10%)に他癌の発生を認めた(膀胱癌2名、腎細胞癌、肺癌、食道癌、胃癌、形質細胞腫、各1名)。食道癌の1名が食道癌で死亡したが、残り6名は二次癌の治療後もイマチニブ治療を継続した。【結語】減量投与を必要とする患者は多いものの、日本人GIST患者においてもイマチニブ治療は良好な治療効果を示した。治療が長期に及ぶため、二次癌の発生にも注意を払う必要がある。
索引用語 GIST, イマチニブ