セッション情報 パネルディスカッション10(消化器病学会・消化器内視鏡学会・消化器外科学会合同)

消化管GIST治療の進歩と長期予後

タイトル 内PD10-6:

進行・転移性GISTに対するイマチニブ治療の長期予後について

演者 澤木 明(名古屋第二赤十字病院・消化器内科)
共同演者 折戸 悦朗(名古屋第二赤十字病院・消化器内科)
抄録 【目的】イマチニブおよびスニチニブによる薬物治療が進行・転移性GISTの予後を大きく改善させたことは周知の事実である。長期間イマチニブが有効である症例も報告されていることから、イマチニブの長期有効例の臨床的な特徴を明らかにする目的で後方視的な検討を行った。【方法】当院の消化器内科または薬物療法科で、2011年4月から2012年2月までにGISTに対する薬物治療をおこなった進行・転移性GIST50例の中で、局所進行例2例、臨床情報が少ない4例、合併症や経済的な理由で長期休薬となった4例を除く転移性GIST40例を対象とした。検討を行った臨床情報は年齢、性別、原発部位、腫瘍径、核分裂像数、原発切除の有無、転移部位、転移の最大径、転移数、抗腫瘍効果、治療後の嚢胞様変化の有無であった。長期有効例は無増悪生存期間が5年を超える群とし、5年以下を短期有効例とした。転移数はCTなどの画像でとらえられる腫瘤を対象とし、手術所見によってのみ診断される腫瘤は対象としなかった。さらに、10以下の転移数を countableと定義した。【成績】年齢の中央値は60歳、男女比は19:21、原発部位では胃が半数の20例、次いで空腸・回腸12例であった。腫瘍径の中央値は10cm、肝転移および腹膜転移症例は重複を含めてそれぞれ22例と24例であった。34例が原発切除を受け、転移がcountableであったのは22例であった。長期有効例は11例でこの内、3例は奏効期間が10年を超えていた。長期有効例と短期有効例の比較においてcountableのみが有意(p=0.01)で、腹膜転移は有意ではなかった(P=0.63)。countableに注目して40例を2群に分けると両群間には有意差(=0.002)をみとめ、ハザード比は6.399であった。【結論】イマチニブの奏効期間が10年を超える転移性GISTでは、いずれも転移個数が10以下であった。更なる症例集積による検討が必要であるが、転移個数がイマチニブの奏効期間に関連している可能性が示唆された。
索引用語 GIST, イマチニブ