セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 4:肝細胞癌切除後に血中HCV-RNAが持続陰転化したC型肝硬変の1例 |
演者 | 笹沼 宏年(東京慈恵医科大学付属青戸病院消化器肝臓内科) |
共同演者 | 久保 恭仁(東京慈恵医科大学付属青戸病院消化器肝臓内科), 奥 憲彰(東京慈恵医科大学付属青戸病院消化器肝臓内科), 木村 貴純(東京慈恵医科大学付属青戸病院消化器肝臓内科), 北原 拓也(東京慈恵医科大学付属青戸病院消化器肝臓内科), 吉澤 海(東京慈恵医科大学付属青戸病院消化器肝臓内科), 会沢 亮一(東京慈恵医科大学付属青戸病院消化器肝臓内科), 安部 宏(東京慈恵医科大学付属青戸病院消化器肝臓内科), 松岡 美佳(東京慈恵医科大学付属青戸病院消化器肝臓内科), 相澤 良夫(東京慈恵医科大学付属青戸病院消化器肝臓内科), 田尻 久雄(東京慈恵医科大学付属病院院消化器肝臓内科) |
抄録 | 症例は66歳女性.HCV陽性肝硬変,糖尿病,甲状腺機能低下症にて近医加療中.躁状態を繰り返していたが専門的医療は受けていなかった.当院での精査加療を希望し2008年2月紹介受診,精査のため入院となった.生活歴;30歳代に刺青施行.嗜好品;Alcohol(-) tabaco20本/day×30年間.入院時身体所見;身長156cm,体重52kg,眼球結膜貧血なく眼瞼結膜黄疸なし.腹部平坦かつ軟.肝脾触知せず.下肢浮腫なし.入院時検査所見(2月20日);Plt8.1×104,PT66%,AST90IU/ml,ALT59IU/ml,T-Bil0.9mg/dl,Alb3.4g/dl HbA1c6.7%,AFP222ng/ml,ICGR15;27%,HCVserotype2,HCV-RNA2.0LogIU/ml.入院後経過;当腹部造影CTで肝S4に早期濃染する径15mmの腫瘤性病変を認め肝細胞癌と診断した.当院外科にて4月18日,肝部分切除術を施行.病理所見は索状増殖を示す中分化型肝細胞癌で背景肝は肝硬変であった.術後,躁状態悪化に対して行った薬物療法により誘導されたと思われる肝性脳症が出現したが,内科的治療により改善した.同年11月14日および2009年1月31日に実施したHCV-RNA(リアルタイムPCR)はともに陰性であり,AST,ALTも正常化している.考察;C型急性肝炎では自然経過で約30%にHCVの排除が期待されるが,発症後3ヶ月以上経過するとHCVの自然陰転化は稀(年率0.5%)である.本症例では肝癌に対する肝部分切除後にHCVが自然に持続陰性化した.胃癌術後にHCVの陰性化や減少を認めたHCVキャリアーの報告もあり,手術によるストレスや腫瘍の除去による制御性T細胞の減少がHelper T細胞の誘導やTh1/Th2バランスの変化をもたらし,HCV陰性化に関与した可能性が考えられた。肝細胞癌切除後にHCVが自然陰転化した肝硬変例を経験したので文献的考察を含め報告する. |
索引用語 | 慢性C型肝炎, 自然陰転化 |