セッション情報 一般演題

タイトル 30:

胸痛にて発症し、経過観察にて自然縮小を観察しえた肝炎症性偽腫瘍の一例

演者 赤澤 直樹(国立国際医療センター戸山病院消化器科)
共同演者 柳瀬 幹雄(国立国際医療センター戸山病院消化器科), 西村 崇(国立国際医療センター戸山病院消化器科), 中島 亮(国立国際医療センター戸山病院消化器科), 藤谷 啓一(国立国際医療センター戸山病院消化器科), 朝山 直樹(国立国際医療センター戸山病院消化器科), 尾上 淑子(国立国際医療センター戸山病院消化器科), 山田 晃弘(国立国際医療センター戸山病院消化器科), 矢田 智之(国立国際医療センター戸山病院消化器科), 桜井 俊之(国立国際医療センター戸山病院消化器科), 永田 尚義(国立国際医療センター戸山病院消化器科), 横井 千寿(国立国際医療センター戸山病院消化器科), 小早川 雅男(国立国際医療センター戸山病院消化器科), 秋山 純一(国立国際医療センター戸山病院消化器科), 正木 尚彦(国立国際医療センター戸山病院消化器科), 上村 直実(国立国際医療センター戸山病院消化器科)
抄録 【症例】69歳男性【主訴】胸痛【既往歴】虫垂炎、細菌性腹膜炎、変形性股関節症【生活歴】飲酒一合/日×50年、喫煙15本/日×50年【現病歴】2006年11月29日午前、自宅近辺を歩行中に突然胸痛発作あり5分ほどで自然軽快した。自宅安静にしていたところ再び胸痛が出現、軽快しないため救急車にて当院救急外来を受診。狭心症の疑い、胸痛の精査目的にて入院となった。【入院時現症】意識清明、見当識障害なし、心雑音なし、肺雑音なし、吸気時に増悪する胸痛あり。下腹部正中に手術瘢痕あり。腹部圧痛、腹膜刺激症状なし。【入院時検査所見】<血液>WBC 4740, Hb 14.1, Plt 23.3, %PT 71.7%, PT-INR 1.54, Alb 3.5, AST 46, ALT 37, CK 70, CK-MB 11, AMY 38, BUN 9.5, Cre 0.56, CRP 0.37<尿>TP-, Glu-, OB 3+<ECG>異常なし 【入院後経過】心疾患を疑いCCU入院の上、慎重な経過観察するも心疾患を示唆する所見の出現はみられなかった。入院後に著明な肝胆道系酵素の上昇の出現ありT-bil4.0、γ-GTP393、ALP953となった。また腹部造影CTにて肝左葉に2.5cm大の腫瘍性病変を2個認めた。悪性腫瘍を疑い腹部ダイナミックMRI、PET、腹部超音波、上下部内視鏡等を施行したが確定診断に至らず、CT所見上肝炎症性偽腫瘍疑われ肝生検を施行した。病理所見にて膠原線維の増生とわずかに炎症細胞の浸潤を認め肝炎症性偽腫瘍と診断した。慎重な経過観察をしたところ、肝胆道系酵素は自然に軽快、1ヵ月後のCTで腫瘍の縮小を認め、6ヵ月後には完全に消失した。1年後、2年後に造影CT、MRIにてフォローし以降の再発を認めなかった。【考察】肝炎症性偽腫瘍は悪性腫瘍との鑑別が困難であり、また穿刺による播種の危険があるため腫瘍生検せずに外科的切除される症例が多い。今回我々はCT所見にて肝炎症性偽腫瘍を疑い肝生検にて診断し、2年間にわたる画像フォローにて自然消失を確認しえた症例を経験したため報告する。
索引用語 肝炎症性偽腫瘍, 肝障害