セッション情報 |
一般演題
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タイトル |
85:著明な腸管浮腫を伴った淋菌性骨盤内炎症性疾患の一例
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演者 |
千葉 明生(東京慈恵会医科大学 附属病院 消化器肝臓内科) |
共同演者 |
飯沼 敏朗(東京慈恵会医科大学 附属病院 消化器肝臓内科), 松平 浩(東京慈恵会医科大学 附属病院 消化器肝臓内科), 瀬嵐 康之(東京慈恵会医科大学 附属病院 消化器肝臓内科), 田尻 久雄(東京慈恵会医科大学 附属病院 消化器肝臓内科) |
抄録 |
症例は34歳女性、生来健康であった。09年1月8日、下腹部痛を自覚し当院救急外来受診となり急性胃腸炎が疑われCFPN-PI300mg/3×処方され帰宅となった。しかし、症状の改善を認めず1月11日に再度当院救急外来受診した。腹部所見として、下腹部を中心に圧痛、反跳痛を認め、採血上白血球数20900μ/ml、CRP値30.6mg/dlと高値を認めたため当科緊急入院となった。入院後2病日の腹部造影CTでは小腸粘膜に著明な浮腫を認めたが、腫瘤・膿瘍、腹部動脈血栓、遊離ガス、腹水等を認めず、女性生殖器にも明らかな異常所見を認めなかった。そのため、感染性腸炎を疑いFOM4g/2×を開始し絶飲食管理とした。入院後10病日に、FOMによる肝機能障害が疑われたため中止としたが、炎症所見と腹部症状が改善傾向にあり、食事を流動食から開始した。食事摂取による腹部所見の増悪は認めなかった。入院後の便培養の結果は正常細菌叢であり、下部消化管内視鏡では回腸末端より20cmまで観察したが、明らかな異常所見を認めず、感染性腸炎、炎症性腸疾患、悪性疾患等は否定的であった。当院婦人科受診した際の頚管分泌物よりNeiserria gonorrhoeaeのPCRが陽性であり、淋菌性骨盤内炎症疾患と診断した。先行するFOMが効果的であったと判断し、CTRX2g/回+AZM1g/回の単回治療を追加した。入院後17病日での腹部造影CTでは、腸管浮腫は軽度残存するものの入院時と比較して改善傾向にあり、全身状態、臨床症状、及び白血球数、CRP値などの採血上炎症所見も改善を認めたため、入院後21病日に退院となった。著明な腸管浮腫を認め当初消化管疾患が疑われたが、骨盤内炎症性疾患に伴う腸管浮腫病変であった。診断に苦慮しており示唆に富む症例と考え、若干の文献的考察を含めて報告する。 |
索引用語 |
PID, 淋菌 |