セッション情報 一般演題

タイトル 67:

腹部造影CT検査でBall valve syndromeが疑われ内視鏡的に治癒切除を行った胃癌の1例

演者 池本 正平(秦野赤十字病院 内科)
共同演者 林 秀雄(秦野赤十字病院 内科), 池田 彰彦(秦野赤十字病院 内科), 藤井 信一郎(秦野赤十字病院 内科)
抄録 【症例】66歳、女性。【主訴】自覚症状無し。【現病歴】左副腎腫瘍(当院泌尿器科通院中)の経過観察目的に腹部造影CT検査を施行したところ左副腎腫瘍は85×75×70mm大でほぼ不変であったが、胃前庭部よりtype 1胃癌が発育し十二指腸球部にはまりこんでいるように見えBall valve syndrome(BVS)を来たしていることが疑われたため当科紹介となった。上部消化管内視鏡検査を施行したところ胃前庭部前壁よりφ5cm大の山田-IV型ポリープが発育し、幽門輪を越えて十二指腸球部に嵌入してBVSを来たしうる状態と考えられた。ポリープは鉗子で胃内へ引き戻すことが可能であった。生検でGroup IV, Highly suspicious adenocarcinoma、生検標本上明らかな粘膜下への浸潤像を認めなかったため、内視鏡的切除を行う方針とした。【経過】腫瘍はφ6cm大へsize upし、一括切除は困難で、3分割切除とした。病理結果はAdenocarcinoma in Adenoma, pM, ly0, v0, pHM0, pVM0で治癒切除であった。第5病日流動食より開始、第12病日退院した。【考察】胃の腫瘍性病変が十二指腸球部に脱出し、突然の腹痛や嘔吐、腹部膨満などの閉塞症状を来たす病態はBVSと呼ばれている。今回の症例は明らかなBVSの発症は認めなかったが偶然に腹部CT検査で発見され、内視鏡所見からは胃腺癌によりBVSを発症しうる状態であったと考えられる。このような例で内視鏡的に治癒切除を得られた例は稀であり、文献的考察を加え報告する。
索引用語 Ball valve syndrome, 内視鏡的治癒切除