セッション情報 一般演題

タイトル 72:

ESD時穿孔に門脈ガス血症を合併した1例

演者 内山 崇(横浜市立大学附属病院 消化器内科)
共同演者 阿部 泰伸(横浜市立大学附属病院 消化器内科), 高橋 宏和(横浜市立大学附属病院 消化器内科), 稲森 正彦(横浜市立大学附属病院 消化器内科), 加藤 真吾(横浜市立大学附属病院 消化器内科), 飯田 洋(横浜市立大学附属病院 消化器内科), 馬渡 弘典(横浜市立大学附属病院 消化器内科), 遠藤 宏樹(横浜市立大学附属病院 消化器内科), 野崎 雄一(横浜市立大学附属病院 消化器内科), 細野 邦弘(横浜市立大学附属病院 消化器内科), 秋山 智之(横浜市立大学附属病院 消化器内科), 米田 恭子(横浜市立大学附属病院 消化器内科), 藤田 浩司(横浜市立大学附属病院 消化器内科), 米田 正人(横浜市立大学附属病院 消化器内科), 桐越 博之(横浜市立大学附属病院 消化器内科), 小林 規俊(横浜市立大学附属病院 消化器内科), 窪田 賢輔(横浜市立大学附属病院 消化器内科), 斉藤 聡(横浜市立大学附属病院 消化器内科), 中島 淳(横浜市立大学附属病院 消化器内科)
抄録 症例は,77歳男性.糖尿病,高血圧の治療で通院中,近医で上部内視鏡検査を施行され,胃体上部大弯後壁に0-IIc病変(高分化型腺癌疑い)を指摘された.平成18年9月,加療目的で当科紹介となった.既往歴は糖尿病,高血圧のほかに,ASOを指摘されていたが,抗凝固療法は施行されていなかった.同年10月,入院管理下でESDを施行した.局注にはヒアルロン酸添加のグリセオールを使用し,フレックスナイフを用いて切開・剥離を行った.粘膜下層剥離中に穿孔を併発.しばらく剥離を継続したが,気腹が進み,血中酸素飽和度の軽度低下が認められたため,スネアを使用し分割切除で処置を終了した.処置終了後,直ちに脱気を行い,腹部CTを施行したところ,腹腔内遊離ガス像のほかに,門脈内にもガス像が認められ,門脈ガス血症の併発と診断された.全身状態は良好で,経時的に経過をみた血液検査上も肝酵素,凝固能などに異常所見を認めなかった.通常の穿孔合併例と同様に絶食,抗生剤投与で保存的に経過観察した.術後4日目のCT上,ガス像の消失が確認され,術後7日目より経口摂取を再開し,術後11日目に退院となった.切除標本の病理所見は,高分化腺癌で,深達度はsm1であった.術後2年5ヶ月経過観察しているが,現在までに再発は認めていない.門脈ガス血症は,腸管壊死などの重篤な疾患の際に認められる比較的まれな病態で,予後不良な兆候とされてきたが,最近,軽症な症例での報告も認められる.ESDへの併発の報告はまれであり,今回報告する.
索引用語 ESD, 門脈ガス血症