セッション情報 一般演題

タイトル 59:

食道癌の治療経過中に心臓転移を来たした一例

演者 稲垣 尚子(藤沢市民病院)
共同演者 高 蓮浩(藤沢市民病院), 入江 邦泰(藤沢市民病院), 安藤 知子(藤沢市民病院), 三輪 治生(藤沢市民病院), 守田 誠恵(藤沢市民病院), 岩瀬 滋(藤沢市民病院)
抄録 今回我々は進行食道癌の加療経過中に心臓転移をきたした一例を経験したので報告する。症例は67歳女性、喫煙飲酒歴あり、既往に心房細動あり。平成17年11月経口摂取時の胸のつかえを自覚し近医受診、上部消化管内視鏡検査(GIF)で胸部食道に高度狭窄を呈する腫瘍を認め精査加療目的に12月当科紹介受診となった。再検GIFで切歯より30~36cmに半周性以上を占める3型病変を認め、同部よりの生検組織診で低分化型扁平上皮癌と診断された。縦隔CTで胸部下行大動脈浸潤陽性と診断し、放射線化学療法施行の方針となった。平成18年1月~2月にweekly ドセタキセル投与+原発巣放射線照射66Gy施行、それによりCRが得られた。その後経過観察中の平成19年6月CTでNo.106リンパ節転移を認め、また少量の心嚢水を認めた。食道癌再発と診断し、同年7月~9月low dose FP療法+上縦隔放射線照射60Gy施行、再びCRが得られた。その後も経過観察していたが平成20年2月両側胸水、心嚢水貯留著明となり、循環器内科により心房細動による心不全を診断され薬物療法開始となった。癌性胸水、癌性心嚢水の可能性が否定できないため同年3月~5月に再度low dose FP療法施行、効果はSDと判断した。化学療法終了後も胸水と心嚢水の増減を繰り返したが、利尿薬などによりコントロールし全身状態安定、経過観察していた。平成21年1月CTで右房・右室内にlow density SOLを認め、血栓または転移性心臓腫瘍が疑われ1月22日加療目的に緊急入院、翌23日に開心術施行した。右房内に黄白色腫瘍、更には右室内心尖部に同様の腫瘍を認め、術中迅速診断で扁平上皮癌検出、可及的に腫瘍切除し閉心、終刀した。食道癌の心臓転移は比較的まれな病態であり、国内でも少数の報告が散見される。我々が経験した症例を若干の文献的考察を加え報告する。
索引用語 食道癌, 心臓転移