セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 100:上行結腸に穿通した虫垂粘液嚢胞腺癌の一例 |
演者 | 松本 直樹(駿河台日本大学病院 内科) |
共同演者 | 宇野 昭毅(駿河台日本大学病院 内科), 大山 恭平(駿河台日本大学病院 内科), 西山 竜(駿河台日本大学病院 内科), 小川 眞広(駿河台日本大学病院 内科), 大谷 豪(駿河台日本大学病院 内科), 荻原 章史(駿河台日本大学病院 内科), 中島 典子(駿河台日本大学病院 内科), 田中 直英(駿河台日本大学病院 内科), 森山 光彦(駿河台日本大学病院 内科), 杉山 順子(駿河台日本大学病院 外科), 林 成興(駿河台日本大学病院 外科), 絹川 典子(駿河台日本大学病院 病理), 石田 秀明(秋田赤十字病院 消化器内科) |
抄録 | 【症例】84歳女性。1ヶ月前より間欠的に右下腹部痛を自覚し、当科を受診した。右下腹部に腫瘤を触知し、同部位に圧痛を認めた。血液検査上、WBC 11,700/μl、CRP 11.7mg/dlと高度の炎症反応があり、入院となった。腹部造影CT:回盲部に内部が水と同等の低信号を呈し、辺縁が造影される嚢胞状の病変が指摘された。水信号の一部にも淡い造影効果が見られた。腹部超音波:上行結腸の背側壁外に、内部に等エコーの充実成分を有する嚢胞性病変が認められた。カラードプラで血流シグナルが検出された。大腸内視鏡:上行結腸は壁外性圧迫を受けて回盲弁、虫垂口は確認できず、盲腸付近に一部絨毛様構造が認められた。また少量の膿性粘液も見られた。注腸検査:回盲弁対側に臥位で現れる6cm大の透亮像があり、圧迫でより明瞭となった。虫垂は描出されなかった。経過:絶食、抗生剤投与で炎症反応は改善したが、回盲部の病変に変化無く、回盲部切除を施行した。虫垂粘膜に異型細胞の増殖が見られ、虫垂周囲へ浸潤した部位に多量の粘液があり、虫垂粘液嚢胞腺癌の診断となった。腫瘍は一部が上行結腸に浸潤し、粘膜に達して穿通していた。リンパ節転移、粘液の腹腔内への漏出は見られなかった。【考察】虫垂粘液嚢胞腺癌は比較的稀な疾患で、その発生頻度は虫垂切除の1/30,000と言われる。リンパ行性転移や血行性転移が少ない一方で、近接臓器への直接浸潤や嚢腫の破裂による腹膜偽粘液腫が予後を左右する。浸潤の結果、瘻孔を形成する頻度は低いが、皮膚、結腸、回腸、膀胱への穿通が多いと言われる。本症例においては、内視鏡的には絨毛様構造が見られた部位が腫瘍の露出した部分と考えられ、超音波検査においても穿通と思われる所見が描出された。今回、虫垂粘液嚢胞腺癌が上行結腸へ浸潤して穿通した稀な症例を経験したため、報告した。 |
索引用語 | 虫垂粘液嚢胞腺癌, 上行結腸穿通 |