セッション情報 一般演題

タイトル 74:

マロリー・ワイス症候群をきたした13ヶ月後に十二指腸癌が診断された1例

演者 塩沢 牧子(横浜船員保険病院 内科)
共同演者 藤井 彩子(横浜船員保険病院 外科), 小倉 孝氏(横浜船員保険病院 内科), 小金井 裕之(横浜船員保険病院 内科), 内藤 実(横浜船員保険病院 内科), 野尻 和典(横浜船員保険病院 内科DELIMITER横浜船員保険病院 外科), 長堀 優(横浜船員保険病院 外科)
抄録 十二指腸癌は全消化管悪性腫瘍のうち0.3~0.6%と、まれな疾患であり、その中でも水平脚原発のものは頻度が少なく、早期発見される症例はきわめてまれである。また、予後不良な疾患であり、非治癒切除症例では2年生存例はないとの報告もある。今回、当初マロリー・ワイス症候群を来たし、その13ヶ月後に十二指腸癌と診断された一例を経験したため報告する。45歳男性。2007年11月末、黒色嘔吐、黒色便、心窩部痛を認め、近医より上部消化管出血疑いの診断で当院を紹介され受診した。Hb12.2mg/dlと軽度の貧血を認め、緊急入院となった。上部消化管内視鏡を施行したところ、胃食道接合部に縦走潰瘍を認め、マロリー・ワイス症候群と診断し、加療をおこなった。スクリーニング目的で腹部エコーを施行したが特記すべき異常を認めず、第9病日で退院した。その後経過観察の上部消化管内視鏡では異常所見を指摘されず、通院は終了となっていた。最初の入院から約13ヶ月が経過した2009年1月に突然嘔吐、めまい出現、その後黒色便を認め、当院を受診した。Hb6.0mg/dlと低下あり、緊急入院となった。上部消化管内視鏡では出血源を認めず、下部消化管内視鏡でもS状結腸ポリープを認めたが、出血源となりうる病変を認めなかった。腹部造影CTでも異常所見を指摘できなかったが、腹部超音波検査で心窩部に肥厚した消化管を認めた。小腸造影を施行し、十二指腸水平脚に約3cm長で4分の3周性の2型腫瘍を認めた。上部消化管内視鏡を再検、十二指腸水平脚まで内視鏡を挿入し、同部位に2型腫瘍を認めた。生検の結果は乳頭腺癌であった。外科に転科、手術施行した。まれな疾患である水平脚原発の十二指腸癌の一例を経験したので、文献を基に考察を行う。
索引用語 十二指腸癌, マロリーワイス症候群