セッション情報 一般演題

タイトル 34:

嚢胞内出血を来たし、腹腔鏡下切除にて治療した巨大脾嚢胞の1例

演者 柳沢 昇吾(横浜労災病院 消化器内科)
共同演者 村瀬 貴之(横浜労災病院 消化器内科), 日暮 琢磨(横浜労災病院 消化器内科), 千葉 宙門(横浜労災病院 消化器内科), 谷 理恵(横浜労災病院 消化器内科), 川名 憲一(横浜労災病院 消化器内科), 永瀬 肇(横浜労災病院 消化器内科), 藤原 研司(横浜労災病院 消化器内科), 岡崎 靖史(横浜労災病院 外科), 大島 郁也(横浜労災病院 外科), 有我 隆光(横浜労災病院 外科), 尾崎 正彦(横浜労災病院 外科), 角田 幸雄(横浜労災病院 病理部)
抄録 症例は36歳女性。健診の腹部エコー検査にて巨大な脾嚢胞を指摘され2004年4月 日に紹介受診となった。自覚症状はなく、腹部エコーにて脾臓には約10cmの内部均一な低エコーを呈する嚢胞を認めた。腹部CTでも脾臓に均一な低吸収域を呈する嚢胞を認めたが、結節や実質成分、隔壁構造などは認めなかった。以後、ほぼ半年1回の定期的検査にて過観察していたが、3年間はエコー上にも変化を認めなかった。2007年10月27日に心窩部痛にて受診、腹部エコー、CT検査行うも脾嚢胞に変化はなく、急性胃炎の診断で内服治療し軽快した。2008年4月8日に腹部エコーによる定期的検査を行ったところ、嚢胞壁の内側に巾2~3cmのやや高エコーを呈する不規則な実質性成分を認めた。血液検査ではHb13.6と貧血は認めず、生化学ではUA6.0と軽度上昇を認めるのみで、その他に異常を認めなかった。4月10日に造影CTを施行、脾嚢胞の大きさには変化ないものの、嚢胞壁に接して内部にやや高吸収域を呈する部分を認めた。造影効果はなかった。上部消化管内視鏡検査では軽度の表層性胃炎と胃体上部大彎に壁外性圧排を認めるのみであった。画像所見や経過から、時期は特定できないものの嚢胞内出血を来たしたものと考えられた。再出血や嚢胞破裂を起こす可能性が考えられたため、腹腔鏡下脾摘出術を施行した。脾臓には約10cmの仮性嚢胞形成を認めたが、異型細胞は認めなかった。脾嚢胞は比較的稀な疾患であるが画像検査の普及により症例は増加傾向にある。しかしがら、外傷などによらない脾嚢胞内の自然出血の報告は10例程度と極めて稀である。巨大嚢胞では出血の他、破裂によるショックなども報告されており、積極的な外科的治療を考慮すべきと考えられた。
索引用語 脾嚢胞, 出血