セッション情報 一般演題

タイトル 1:

エンテカビルが奏効した白血病治療後de novo B型肝炎の1例

演者 重福 隆太(聖マリアンナ医科大学 横浜市西部病院 消化器内科)
共同演者 石井 俊哉(聖マリアンナ医科大学 横浜市西部病院 消化器内科), 坪井 佳子(聖マリアンナ医科大学 横浜市西部病院 消化器内科), 足立 清太郎(聖マリアンナ医科大学 横浜市西部病院 消化器内科), 足立 香代(聖マリアンナ医科大学 横浜市西部病院 消化器内科), 黄 世揚(聖マリアンナ医科大学 横浜市西部病院 消化器内科), 田端 美弥子(聖マリアンナ医科大学 横浜市西部病院 消化器内科), 二階 亮(聖マリアンナ医科大学 横浜市西部病院 消化器内科), 佐藤 明(聖マリアンナ医科大学 横浜市西部病院 消化器内科)
抄録 近年,化学療法後のHBV再活性化によるde novo B型肝炎が報告され,しばしば重症化することで問題となっている。我々は肝炎発症後にエンテカビル(ETV),グリチルリチン(SNMC)を投与し,鎮静化したde novoB型肝炎の1例を経験した。 症例は44歳、男性。2008年2月初旬より心窩部痛が出現し近医受診。検査にてWBC 115900/μl(blast 95%)を認め、急性白血病疑いで当院血液内科を紹介受診。急性骨髄性白血病AML (M1)と診断され、2/15より化学療法を行いAMLは寛解し8/5から外来にて経過観察されていた。9/2 AST 862IU/l、ALT1144IU/lと著明な肝障害を認め、9/5当科に紹介となった。この時HBsAg(+)であり,AML治療前はHBsAg(-),HBcAb(+)であったことから抗癌剤によるde novoB型肝炎と診断し,同日よりエンテカビル 0.5mg/日を投与開始したが9/9肝機能の増悪を認めたため同日入院となった。入院時検査ではWBC 5200/μl、Blast 0%、PT 73%、T.Bil 3.2mg/dl、D.Bil 2.5mg/dl、AST 1515IU/l、ALT 2300IU/l、HBeAg(-)、HBeAb(+)、HBV-DNA 6.3log (Taqman)であった。ETVの効果を期待し入院後も経過観察としたが,9/13 AST 1901IU/l、ALT 2850IU/lとさらに増悪したためSNMC 100ml/日の連日投与を開始し、その後速やかなトランスアミナーゼの改善を認め,9/25にはT.Bil 1.7mg/dl、AST 40IU/l、ALT 125IU/lまで改善したため、9/27退院となった。HBV-DNA は10/10より1.8log未満が持続している。 HBV既感染者の化学療法では肝機能、HBV-DNA量の厳重なフォローアップが必要であり,異常を認めた場合は早急に核酸アナログ投与を検討すべきと考えられた。
索引用語 de novo B型肝炎, 化学療法