セッション情報 パネルディスカッション10(消化器病学会・消化器内視鏡学会・消化器外科学会合同)

消化管GIST治療の進歩と長期予後

タイトル 外PD10-7:

根治切除不能・再発GISTの治療における外科的介入の意義

演者 豊川 貴弘(馬場記念病院・外科)
共同演者 寺岡 均(馬場記念病院・外科), 山下 好人(大阪市立総合医療センター・消化器外科)
抄録 【はじめに】イマチニブの登場により根治切除不能・再発GISTに対する治療成績は飛躍的に向上したが,外科的介入の意義は明らかにされていない.当科ではR0切除が可能なもの,イマチニブの部分耐性症例に対して積極的に手術を行ってきた.【対象と方法】1993年5月から2010年12月までに当院および大阪市立総合医療センターで診断されたGIST症例135例中,切除不能・再発GIST を23例経験し,イマチニブを用いて治療を行った18例の治療成績をretrospectiveに検討した.【結果】平均年齢は60.2歳(35-81歳)で男性8例,女性10例であった.原発部位は胃7例,十二指腸1例,小腸10例であった.転移・再発部位は肝臓9例,腹膜12例,局所2例であった.手術は12例に対してのべ18回施行されており,手術の内容は減量切除8回,部分耐性切除4回,完全切除6回であった.全症例の予後は,観察期間中央値1455日(36-4158)において治療開始後の生存期間は中央値に到達せず,5年生存率は88.5%で,死亡例の3例は全例原病死であった.転移・再発病変の完全切除は4例(肝転移2回,腹膜播種2回,局所再発2回)に対して行われ,全例が再発をきたした.再発症例に対して完全切除を行い,術後補助化学療法を行わなかった症例の無再発期間中央値は476日であった.部分耐性に切除を行った4例はいずれも肝転移で,術後イマチニブを継続投与することで無増悪期間は226,336,412,579日であった(226,579日の症例は無増悪生存中).【結語】集学的治療のオプションの一つとして手術を積極的に行うことで予後を改善する可能性があるが,外科的介入の意義に関してはさらなる症例の蓄積による検討が必要である.
索引用語 GIST, イマチニブ