セッション情報 一般演題

タイトル 15:

C型慢性肝炎に合併した肝腫瘍の1例

演者 野原 淳(群馬大学 医学部医学研究科 病態制御内科)
共同演者 市川 武(群馬大学 医学部医学研究科 病態制御内科), 佐藤 賢(群馬大学 医学部医学研究科 病態制御内科), 蜂巣 陽子(群馬大学 医学部医学研究科 病態制御内科), 柿崎 暁(群馬大学 医学部医学研究科 病態制御内科), 川手 進(群馬大学 医学部医学研究科 臓器病態外科学), 竹吉 泉(群馬大学 医学部医学研究科 臓器病態外科学), 高木 均(群馬大学 医学部医学研究科 病態制御内科), 草野 元康(群馬大学 医学部附属病院 光学医療診療部), 森 昌朋(群馬大学 医学部医学研究科 病態制御内科)
抄録 症例は75歳女性。平成15年に検診にてHCV抗体陽性を指摘されたが放置されていた。平成20年8月、近医を受診し、HCV genotype 2a、HCV-RNA 2.6 Log IU/mlと判明し当院紹介となった。外来での腹部超音波検査で、肝S5に径1.7cmの辺縁に低エコー帯を伴う腫瘤を認めた。肝dynamic CTでは造影効果の乏しい結節性病変を認め、高分化型肝細胞癌や腺腫様過形成が疑われ、精査治療目的に当科入院となった。入院時の検査所見では、肝機能は正常で、AFP、PIVKA-IIも正常範囲内であった。腹部血管造影検査では肝S5の腫瘤はCTAPで造影欠損、CTHAで腫瘤辺縁及び内部の一部に造影効果を認め、Gd-EOB-DTPA造影MRIではすべての相で周囲肝よりも造影効果が乏しく、辺縁と内部一部が不均一に造影され、肝細胞相では造影欠損となった。以上の結果から高分化型肝細胞癌の可能性が高いと考えられたが、画像上の確定診断は困難であり、エコー下腫瘍生検が施行された。病理結果は管状腺癌、免疫染色ではCK7陰性、CK19陽性、CK20陽性で大腸癌の肝転移が疑われた。非癌部はChronic hepatitis, A2F1であった。その後施行されたFDG-PET/CTでは、肝S5(max SUV=12.7)、S状結腸(max SUV=19.4)、結腸傍リンパ節(max SUV=7.9)へ異常集積を認め、CEAは5.6 ng/mlと高値であった。大腸内視鏡検査では、S状結腸にほぼ全周性の2型腫瘍を認め、生検では高分化腺癌と診断された。下腹部も含め施行された造影CTでもS状結腸癌(SE,N1,H1,P0 StageIV)と診断され、Child-Pugh分類 grade A、肝転移は単発で3cm以下であり、外科にて腹腔鏡下S状結腸切除術、肝部分切除となった。本症例は、肝転移を認めたS状結腸癌の一例であった。C型慢性肝炎に合併した径1.7cmの単発の肝腫瘍であることから、肝細胞癌を疑ったが、画像検査では非典型的であり、腫瘍生検を必要とした。 疾患の背景にとらわれることなく、臨床データ、画像検査、腫瘍生検など、総合的な診断の必要性を示唆した症例として報告する。
索引用語 C型慢性肝炎, 肝腫瘍