セッション情報 一般演題

タイトル 80:

急激な経過をたどった好酸球増多症の1例

演者 天野 芙美(埼玉医科大学総合医療センター 消化器肝臓内科)
共同演者 佐藤 恵子(埼玉医科大学総合医療センター 消化器肝臓内科), 小板橋 絵里(埼玉医科大学総合医療センター 消化器肝臓内科), 原田 舞子(埼玉医科大学総合医療センター 消化器肝臓内科), 林 健次郎(埼玉医科大学総合医療センター 消化器肝臓内科), 平井 紗弥可(埼玉医科大学総合医療センター 消化器肝臓内科), 知念 克哉(埼玉医科大学総合医療センター 消化器肝臓内科), 可児 和仁(埼玉医科大学総合医療センター 消化器肝臓内科), 青山 徹(埼玉医科大学総合医療センター 消化器肝臓内科), 石田 周幸(埼玉医科大学総合医療センター 消化器肝臓内科), 宮城 直也(埼玉医科大学総合医療センター 消化器肝臓内科), 山本 龍一(埼玉医科大学総合医療センター 消化器肝臓内科), 櫻田 智也(埼玉医科大学総合医療センター 消化器肝臓内科), 大野 志乃(埼玉医科大学総合医療センター 消化器肝臓内科), 川島 淳一(埼玉医科大学総合医療センター 消化器肝臓内科), 山内 篤(埼玉医科大学総合医療センター 消化器肝臓内科), 加藤 真吾(埼玉医科大学総合医療センター 消化器肝臓内科), 川本 智章(埼玉医科大学総合医療センター 消化器肝臓内科), 屋嘉比 康治(埼玉医科大学総合医療センター 消化器肝臓内科)
抄録 症例は60歳女性、主訴は下痢、下腹部膨満感。2008年12月10日頃より下腹部痛と排尿時違和感が出現、12月13日に当院泌尿器科を受診。抗生剤を処方された。抗生剤服用後より下痢が出現。12月18日に再度受診し、CTを施行したところ胸腹水、小腸浮腫が認められ当科に紹介。精査加療目的にて入院となった。採血にてWBC22400/μl、(好酸球26%,好中球46%,単球4%,リンパ球24%)CRP 2.0と好酸球の増加を認めた。CTの所見と合わせ好酸球性胃腸炎と考え、感染性腸炎、寄生虫感染、膠原病、血管炎などを疑ったが、抗核抗体陰性、便中虫卵陰性、赤痢アメーバ抗体陰性、cANCA、pANCA伴に陰性、dsDNA抗体陰性、抗smDNA抗体陰性であった。腹水は血性で腹水中の白血球の93%は好中球であった。上部消化管内視鏡では十二指腸の高度の浮腫、びらんが認められ病理では、粘膜間質には著明な好酸球浸潤が認められた。浸潤細胞に異型は認められなかった。12 月20 日の採血でWBC24600/μl(好酸球48%)、12月24日にはWBC30800/μl(好酸球66%)、と急激な上昇を認め、好酸球増多少、慢性好酸球性白血病も考慮し、血液内科に転科となった。骨髄生検では好酸球が著増していたが、分化の停滞などはなく、染色体異常も認められなかったため、好酸球増多症と判断した。12月24日よりステロイド(プレドニゾロン60mg )開始。12月27日にはWBC11800/μl(好酸球2.0%)、12月30日にはWBC9300/μlと低下を認めステロイド著効した。その後ステロイド減量し、現在は外来にてフォローされている。考察 好酸球性胃腸炎は消化管への好酸球浸潤と抹消血好酸球増多を特徴とする病態である。寄生虫、悪性疾患、アレルギーの関与など原因は様々であるがステロイドが有効である。我々が今回経験した症例も臨床症状やCTの画像では好酸球性胃腸炎と一致していた。しかし胸水の貯留や経過中に急激な好酸球増加を認め、骨髄生検でも好酸球著増しており、慢性好酸球性白血病も疑われた。しかし本症例は、遺伝子異常が認められないことより、慢性好酸球性白血病の診断には至らなかったが、骨髄疾患その鑑別も考慮する必要があった興味ある症例であり文献的考察を加えて報告する。
索引用語 好酸球増加症, 好酸球性胃腸炎