セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 22:ラジオ波焼灼療法後に生じた門脈血栓症に対してウロキナーゼとダナパロイドナトリウムが有効であった肝細胞癌合併B型肝硬変の1例 |
演者 | 山岡 稔(埼玉医科大学 消化器内科・肝臓内科) |
共同演者 | 中山 伸朗(埼玉医科大学 消化器内科・肝臓内科), 中村 有香(埼玉医科大学 消化器内科・肝臓内科), 打矢 紘(埼玉医科大学 消化器内科・肝臓内科), 平原 和紀(埼玉医科大学 消化器内科・肝臓内科), 中澤 学(埼玉医科大学 消化器内科・肝臓内科), 渡邊 一弘(埼玉医科大学 消化器内科・肝臓内科), 近山 琢(埼玉医科大学 消化器内科・肝臓内科), 高谷 広章(埼玉医科大学 消化器内科・肝臓内科), 安藤 さつき(埼玉医科大学 消化器内科・肝臓内科), 水野 芳枝(埼玉医科大学 消化器内科・肝臓内科), 中尾 雅美(埼玉医科大学 消化器内科・肝臓内科), 菅原 通子(埼玉医科大学 消化器内科・肝臓内科), 齊藤 詠子(埼玉医科大学 消化器内科・肝臓内科), 濱岡 和宏(埼玉医科大学 消化器内科・肝臓内科), 本谷 大介(埼玉医科大学 消化器内科・肝臓内科), 藤盛 健二(埼玉医科大学 消化器内科・肝臓内科), 稲生 実枝(埼玉医科大学 消化器内科・肝臓内科), 今井 幸紀(埼玉医科大学 消化器内科・肝臓内科), 名越 澄子(埼玉医科大学 消化器内科・肝臓内科), 持田 智(埼玉医科大学 消化器内科・肝臓内科) |
抄録 | 症例は62歳の男性。大酒家のHBVキャリアで22年前に肝硬変と診断された。6年前に肝S5/8に径65 mmの肝細胞癌を併発し,肝動脈化学塞栓術療法後,再発なく経過していた。2ヶ月前に肝S4に肝細胞癌の再発を認め,17日前にラジオ波焼灼術療法 (RFA) を施行,合併症なく退院した。出張先で運転中に突然の激しい心窩部痛と嘔吐が出現し,入院となった。TB 19.7 mg/dL,AST 453 IU/L,ALT 468 IU/L,CRP 13.08 mg/dL,腹部CTでは門脈左枝と右後区域枝の一部に血栓が観察された。ウロキナーゼ6万単位/日をヘパリン持続静脈内注射と併用して3日間投与したところ投与2日目より心窩部痛は改善し,投与開始3日後にはTB 3.6 mg/dL,ピーク時に1250 IU/Lと894 IU/Lに上昇したASTとALTはそれぞれ178 IU/LとALT 468 IU/Lに下降した。ヘパリン投与のみ継続し,入院8日後よりワーファリンカリウム5 mg/日の経口投与に変更して翌日退院とした。退院後より鈍い心窩部痛が持続し,生化学データに変化は認められなかったが,退院8日後の腹部CTでは門脈左枝が完全に閉塞し門脈右枝の血栓はさらに進展していた。再び入院としてダナパロイドナトリウム2500単位/日の投与を開始した。AT-III 1500単位/日を最初の3日間併用した。投与開始翌日に心窩部痛は改善し,1週間後には門脈右枝の血栓は長さ15 mmまでに縮小した。さらにダナパロイドナトリウム投与を継続した。投与中に特に有害事象は認められなかった。投与開始2週間後の腹部CT所見に明らかな変化はなく,以後はワーファリンカリウム経口投与により外来で経過観察を行うこととした。ウロキナーゼ投与では血栓は溶解しなかったが,ダナパロイドナトリウム投与で部分的ながら安全に門脈血栓の溶解療法を施行した肝硬変症の1例を経験した。示唆に富む症例と考えて報告する。 |
索引用語 | 門脈血栓症, ダナパロイドナトリウム |