セッション情報 一般演題

タイトル 11:

各種自己抗体陰性で診断に苦慮した自己免疫性肝炎の1例

演者 後藤 晃紀(横須賀共済病院 消化器内科)
共同演者 井上 奈穂子(横須賀共済病院 消化器内科), 堀田 伸勝(横須賀共済病院 消化器内科), 岡本 英子(横須賀共済病院 消化器内科), 山中 秀人(横須賀共済病院 消化器内科), 原 誠(横須賀共済病院 消化器内科), 高橋 英(横須賀共済病院 消化器内科), 伊田 春菜(横須賀共済病院 消化器内科), 伊藤 ゆみ(横須賀共済病院 消化器内科), 田邊 陽子(横須賀共済病院 消化器内科), 渡邉 秀樹(横須賀共済病院 消化器内科), 新井 勝春(横須賀共済病院 消化器内科), 鈴木 秀明(横須賀共済病院 消化器内科), 小林 史枝(横須賀共済病院 消化器内科), 池田 隆明(横須賀共済病院 消化器内科)
抄録 症例:71歳、女性。主訴:全身倦怠感。既往歴:輸血歴(-)、飲酒歴(-)。現病歴:2005年10月より高血圧、糖尿病にて近医通院中。2008年7月頃より特に誘因なく全身倦怠感が発現、同時期に肝機能障害を指摘された。薬剤性肝障害を疑い被疑薬中止としたが改善なく、10月27日に当科紹介入院となった。入院時検査成績:WBC 4900/μl(Eo 2.3%)、LDH 276U/l、AST 292U/l、ALT 449U/l、ALP 305U/l、γ-GTP 55U/l、T-Bil 0.8mg/dl、PT 62%。肝炎ウィルスマーカー(-)、抗核抗体(-)、抗平滑筋抗体(-)、肝腎マイクロゾーム-1抗体(-)、抗ミトコンドリア抗体(-)、IgG 1689mg/dl、IgA 353mg/dl IgM 80mg/dl。腹部CTスキャンでは軽度の脾腫を認めるのみであった。入院後投薬を全て中止・変更したが、凝固系を含め肝機能の改善は認められなかった。末梢血リンパ球サブセット解析でCD4/CD8が3.9と高値で免疫異常の存在が示唆された。肝生検所見は、小葉中心部を主体とした壊死・炎症反応が認められ、急性肝炎との診断であった。臨床経過を含め急性発症型AIHに矛盾しないと考え、scoring systemによる診断基準は満たさなかったが、同意が得られたためプレドニゾロン30mg/日による治療を開始した。治療開始後速やかにトランスアミナーゼは正常化し、凝固系データーも回復した。各種自己抗体陰性で診断に苦慮したAIH症例を経験し、示唆に富むと考え報告する。
索引用語 自己免疫性肝炎, 自己抗体